携帯にメールが届いた。
『10分後、キミの家の前に集合。』
送信者は千石清純。
何事?
と思ったがとりあえず慌てて外に出られるよう着替える。
そして10分後に外に出ると自転車に乗った千石がいた。
「どうしたの? 突然」
「いやあね、お誘いに来たんだよ」
「誘い?」
「今日は何の日だ?」
「七夕」
「そっ! 七夕ってことで星を見に行こうよ」
「星?」
「天の川。織姫がキミで、彦星が俺ね」
「ばか?」
「いたって真剣」
「でも、ちょっと曇ってるし」
「俺を誰だと思ってるの?」
「誰って、千石」
「そう、ラッキー千石!」
千石は子供のように笑った。
「そうだったわね」
「流れ星だって見せちゃうよー」
「期待しとく」
私は千石の自転車に乗った。
「ガンガンとばしてくから、しっかりつかまっててね!」
返事はせずに、千石の腰に手を回した。
「じゃあ出発!」
夏の生温い風が体にあたる。
でも千石と一緒なら心地よい風。
走り出してすぐ雲間から星がのぞきだした。
「ね、俺ってラッキーでしょ?」
千石の楽しそうな声がした。