冬将軍到来の12月。
いつものようにテニス部に顔を出す跡部達に付き合って着いて来た部室で

「ええ!? クリスマスって部活ないの??」

◆クリスマス◆

素っ頓狂な声に跡部が軽く眉を顰める。
「ったりめーだろ。やってられっか。それに俺等は引退してんだぜ? あったとしても出
ねぇよ」
「毎年恒例やん。何? 忘れとったん?」

ハイ。そうです。
忘れてました。
たしか一昨年は家族旅行♪で海外に行くってコトで浮かれててクリスマスどころじゃなく
て、去年は補習でクリスマスどころじゃなくて

そして今年は

「てっきり部活あるもんだと……」

思ってました。
だから
だから

その











油断した!!!!!!!!!!












彼氏なんて魅惑の存在はいなくて、今年は旅行も補習もないけど
でも
引退してても部活に顔出すのは習慣だし。まして私は元・正レギュラーのマネだし。今の
マネ達の相談にも乗ってあげなきゃNe☆
――そう!!
部活があるわ!!
これで一人淋しいクリスマスじゃないわ!!

って思ってたのに。



「もしかしてー、クリスマス一人―??」
間延びした声がベンチから聞こえる。
「マジで? そりゃ淋しいどころの騒ぎやあらへん」
「マジでマジで??」
「そうなんですか? 先輩」
「激ダサ」
「哀れだな、なぁ樺地」
「……ウス」


コイツ等は!!(怒)


「ちっ違いますーっっ失礼な! あーよかった。クリスマス部活なくて。ホントよかったー」

悔しいっあまりにも悔しいっっ
ここでクリスマスは一人なんてことがバレたら

大笑いされる。

きっと長太郎くんと樺地くんは笑わないけど、あと寝惚けてるジロー。
絶対3年ズは笑う!!
笑って笑ってバカにして……

そんなのっ悔しいっっ!!!!


こうなったら

演じるのよ!!

私は女優!!

仮面を被るの!!!!

「なんや一緒に過ごす相手おったん?」
「あたりまえじゃない。愛するダーリンと過ごすのよvv」
私は女優。
彼氏とは付き合って8ヵ月(設定)

「ダレダレダレダレ?? 言ってみそ」
「イヤよっ! 名前とか言ったら絶対見にくるもの」
私は女優。
彼氏は4才年上。大学1年(設定)

「仲いいんですか?」
「そりゃあもう」
私は女優。
彼との仲はアッツアツのラッブラブvv(設定)

「嘘だな」
「(ぎくぅっっ)嘘じゃないです。(ヤバッ目が! 目がっ!!)(話題転換!!)そういう跡部
はクリスマスは何人の女の子を毒牙にかけるのですか?」
「アーン?」
「(コワッッ)」
「毎年、跡部はクリスマス一人なんやでー」
「……マジで??!!」

なぁんだvv
ここにも可愛そうな一人身がいるんじゃないですかvvvv

「そういうお前もな(睨)」
「なんですって?! 忍足も??」

「それを言うなら、全員やん」


マジで??

この顔だけは人の何倍も良い氷帝のホスト集団全員が一人??




ハッッ!!!!




騙されないわっ!
騙されてたまるもんですか!!

これはカマカケねっ
私が一人身だということを暴きたいのね!!


「なんか…逆に……嘘くさい」

「酷っ。マジやで、ホンマに」
「嘘くさい」

上半身を起こして眠い目を擦りながら
「ほんとーだよー、だって俺達―ふごっ
何か言いかけたジローの口を忍足が塞いだ。

「ふごっっふごがっっっ」
「なんやー? ジローはもっと寝とかなあかんねんて」

なにっ??
なんなの??

「……ウス?」
「えっ? うん。ホントに(なんか罪悪感)」

「ちょっと待て! 、今樺地となんて話したの?? 跡部と以外通訳ないと樺地
の言ってる意味わかんないんだから」

「えっああ今のは」
「『本当に彼氏と過ごすのですか?』」
に代わって跡部が言った。

私も同じ意味でその言葉を受け取ったから「ホント」って答えたけど
なんか
なんか
すっごい罪悪感。


「今年もダメでしたね」

「「「「鳳!!」」」」

跡部、忍足、岳人、宍戸が鳳を制止した。


なんなの?
さっきから

変!!



「だーかーらー」

半覚醒したジローが

「「「「ジロー!!!!」」」」

4人の制止の声を気にもとめず

「2年前から俺達全員、クリスマスはフリーなの」

「「「「はぁぁぁ」」」」

4人の溜息が聞こえる。

「つまりね、2年前は一緒に過ごしたい子が旅行行っちゃって、去年はその子が補習。つ
いでに今年はその子が『彼氏と過ごす』とか言うもんだから、もうタイヘン」

「そう…なの」
なんか、コイツ等がそこまでして一緒に過ごしたいなんて

なんかその子

羨ましいかも。

「だからね、一緒に過ごせたら嬉C」

「……あかん、わかってへんわ」
「ここまでくれば天然記念物だな」
「クソクソ!!(照)」
「宍戸、国宝もんだ」


はっ??


呆然とするの隣に跡部がやって来て
反対側に忍足が立つ。

目の前に岳人と宍戸。

その後に長太郎と樺地。

つまり囲まれているわけでして


「ななななっなに(恐怖)」

右隣から
「相手、誰だ?」
左隣から
「言うて。そいつからお姫さん取り返さなあかんから」
正面から
「言えよーっ(ジタバタ)」
「吐けよ」
その後から
先輩をゲットするなんて許せませんね」
「ウス!!」
遠くから
「悔C!! 悲C!!」


ここっこれは


「今年こそクリスマス一緒に過ごそうな」
とか跡部が笑ってて。


「ぉあっっ!! 私か?????」
「お前以外、誰がいんだよ?」

「俺は2人きりでもええけど、それは許されんやろし」
「なななっなにっ?? わけわからん、どないなっとるん??」
「(なんで関西弁やねん)」

「つぶす! 絶対つぶす!!」
「岳人? がーくーとーっ」
「(暴れる)」

「お前、その、男と何もしてねぇだろうな」
「は?」
「その……手ぇつなぐとか……キ……とか」
「(ハッ!)……///」

「「「「「「「(赤くなった?!)(まさか!)(殺す!!)」」」」」」」


ヤバイ!!
コイツ等の目つきが!!
だからと言って

「ゴメン! 彼氏なんて嘘!!」

とか

言えない!!!!


だから


「でででではっっ私、帰りますので」


逃げる!!


ガシッ


「まだ話は終わってねぇだろ(笑顔)」
「(その笑顔が最大級に恐いっっ)(っーか笑顔?? イヤッ! 初めて見た!!)いーやーっ
離してっ跡部のバカバカッッ」

先輩には酷いことしませんから」
「じゃあ誰にするの??」
「え?(微笑み)」
「ウス(頷き)」
「あんたたち」



これは
もう
吐くしかないの??

屈辱だわっ

クソクソ跡部・忍足・岳人・宍戸・ジロー・長太郎・樺地!!!!


「ゴメンナサイ」


「「「「「「「は?」」」」」」」

「聞こえねぇ」
「何? もう1回言うて」

「ゴメンナサイッ!!!!」

「はぁ?」
先輩?」

「見栄はりました。嘘つきました。ゴメンナサイ」

―?」
「ウス?」

「だからですね」
そっと
部室のドアに手をかけて
「彼氏いるってウソッ!」

バンッ

言い逃げ。

ドアを開けると脱兎の如く逃げ出した。

後はそのまま逃げるだけ


だったのに



部室から出て50m弱。

「っきゃっっ」
肩をつかまれる。
腕をとられる。
前に立ち塞がれる。


しまった!!

一般生徒である私が

「遅ぇよ」
「そこが可愛いんやんか」

元・テニス部正レギュラーと

先輩、もう息があがってますよ」
「ウス」

現・テニス部正レギュラーに

「激ダサだな」
「遅すぎ」
「かわEvv」

コイツ等に足でかなう筈もなく

「ぁぅぁぁぁっ(ガタガタブルブル)」

「なに震えてんだ?」
「跡部が恐いんとちゃう?」
「アーン?」

っーか皆こえぇよ!!

「わわっわたくしに……何をお求めでしょうか(ブルブル)」

「まだ、言わせてぇのか?」

いいいいいっ
跡部の顔っ顔っ顔がーココッ
目の前にーっっっっっ



「クリスマスは一緒に過ごそうな」








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なんだかんだで愛されてます。
この子。
あ…ひよしんがいない(ガーン)
コレ書いてた時知らなかったんだ。
彼の存在……時の流れを感じます…

フォルダ整理してたら出てきたので
季節はずれもいいとこだけどUP☆
あははっ(笑/壊)
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