それは突然の電話で

もう夜中でうとうとしていた私はケータイの音で起こされ、寝ぼけ眼で見たディスプレイには

『跡部 景吾』

の文字。

「はぁ?!」

一気に目が覚め、慌てて通話ボタンを押した。

「もひもし?!」

『プッ…寝てたのかよ』

電話越しに聞こえる声は間違いなく『跡部 景吾』で、私はもうただただ驚くしかなかった。



◆一番、最初に◆



「どどど…どうしたの?」

そりゃもう驚くよ。
跡部君とは番号とか、アドレスとか交換してたけど、たいして親しくなくて…
わ…私は跡部君のこと、素敵だなーとは思ってたけど、相手はあの『跡部君』だし、なんか気軽にメールとかできなくて、たまーに跡部君から送られてくるメールとかを楽しみにしてたりなんかしてる地味―な庶民で…

『どもりすぎ』

ましてや電話がかかってくるような仲なんかてはなく…

「えとえとえーっと…どうしたの?」

『ソレしか言えねぇのかよ?』

うわわわわわーっ
喋っちゃってるよ。私ったら跡部君と会話しちゃってるよ!!

「えと、あーわかった! 連絡網?!」

『は?』

「違う…の?」

跡部君から電話だなんて「学校関係」だと思ったのに(明日は台風のため、休みです。とかさ!)…違うの?

『違ぇよ…その…なんだ?…と話がしたくて…な』

「うぇ」

『テメ…』

「違うのっ違うのっっ!! 誤解しないでーっ!!」

うわわ私ったら「うぇ」とか言っちゃったよ!!
全然違うんだよ?!
嫌とかじゃないからね!!
あまりに突然かつ意外だったから!!

『お前やっぱおもしれぇな…』

「うわー笑われてるー私笑われてるー」

『いい意味で…だぜ?』

「うわーどうしよー」

本当に本当に「どうしよう」だよ。
学校でだってあんまり喋ったことないのに…!

「はっ!!」

『アン? どうした?』

「あ…あのー」

『声小せーよ』

それは当然。
だって電話を顔から離し気味だから!

「あのー…」

『なんだよ?』

「……き、とかうるさくない? 大丈夫?」

『聞こえねぇ』

あーもーあーもーっ!!
くぅーっっ
恥ずかしいけど、気になるしっっ

「私の鼻息とかうるさくないですか?!」

『プッ!』

だってだって気になるじゃんよぅ。
よく電話とかでさー
『うん。だよねー フー
みたいな感じで息が凄い聞こえる人いるじゃんよぅ。
もし今跡部君に私のこの興奮しきって荒い鼻息が丸聞こえだったらマジ恥ずかしい!
恥ずかしくて死ぬくらい恥ずかしいよ!!

「…うぅ…無言ですか??」

『ックク…聞こえねぇよ、んなもん』

よよよよ…よかったぁ〜
でもでも笑われてる〜
どっちにしろ恥ずかしい〜っっ

「そっそれでさぁ…跡部君はどうしたの? 何か用事?」

『ああ…まぁな』

「なぁに?」

『今、近くに時計あるか?』

「時計? 時間が知りたくて電話してきたの?」

『んなわけねぇだろ』

「そうだよねぇ」

『で、時計あったか?』

「うん。あるよ」

『今何分だ?』

「えーっと11時59分」

『カウントダウン』

「え?」

『30』

跡部君の声が

『29』

カウントダウンを始めた。

え? って思ったけど、ソレが秒針が進む分減っていっていて
0時までのカウントダウンをしてるんだって気付くのにそんなに時間はかからなかった。



『3』

『2』

『1』

カチ…

0時になった。



しかし



無言。



これは…いったい?




「跡部くん?」

『……』

「なになに? どうしたの?」

『今日、何日だ?』

「えと、3…じゃなくて4日」

『何の日だ?』

「え? 10月4日…」

10…4?

「わかった! 透視の日! 今から透視実験でもするの??」

『…バーカ』

「え? …あぁ!!

何で忘れてたんだろう。
10月4日ったら跡部景吾生誕記念日じゃないですか!!

「うわわっごめん! 跡部君の誕生日! おめでとう! 今年1年いい年になるといいね!」

『ん…』

「え…えーっと」

『誕生日』

「うん」

『一番最初に「おめでとう」って言ってくれるヤツはがいいって思ってたんだ』

「……うん」

『サンキュ…な』

「いえいえ、どういたしまして」

『ついでにさぁプレゼントくれよ』

その言葉にふと浮かんだのは財布のなかみ…
うーんと…ね…
あんまり入ってないですが…

「な…何をご所望でしょうか?」

『お前』

「はい?」

って女』

「……いちにちしもべ…とか、そういうのですか?」

『いや』

「……みっか? い…いっしゅうかん…??」

『永久彼女』

「……」

『もしもーし? 聞いてるか?』

「……はい」

『返事は?』

「はい」

『アン?』

「私で…いいのなら」

『……最高のプレゼントだ』



10月4日。
跡部景吾の誕生日。

プレゼントを…もらったのは私の方かもしれません。










景吾さんお誕生日おめでとうございます!!
こんな祝い方でごめんなさいっ景吾さんっ!!
(別に4日になって某サイト様に行って「うわっ誕生日じゃん!」とか思い出したわけではないよ!景吾さん!!)(バレバレですよ。私っ!)
とにかくおめでとうございました!(15歳ですか? 若いですね〜歳をとらないって羨ましいですね〜)

背景写真はアコの時計(300円の時計)(笑)
0時にしてケータイにて撮影。(パシャッとな!)
ビミョウにアコ部屋がうつってるのは気にしない方向で…!(笑)