少しだけ眉がさがって
頬が膨らんで

そんな
そんな先輩の困ったような怒ったような顔が大好きなんです。





明るい陽がさす、午後。
「せ〜んぱいvv」
いつものようにワザと先輩の後ろから近寄って、見下ろす。
俺の声と、突然自分を覆う影で先輩は上を向く。

「ちょたろ。何?」

今日も先輩はちっさい。
身長差はたぶん(先輩が自分の身長をハッキリと教えてくれないんだ)30cm以上。
もしかしたら40cmあるかも…ないかも。
ちっちゃくて可愛い俺の先輩。

「あのですね、忍足先輩からイイモノもらったんですよ」
「イイモノ?」

両手いっぱいにタオルを抱えた先輩が(先輩はマネージヤーなんです)ジッと俺を見る。
ちょっと冷たいこの視線がたまらない。

「先輩ほらバッタ!」

俺の手の上には、バッタ。
しかもデカいの。殿様バッタ? だっけ??

「……」
「先輩?」

あれれ?
普通女の子って「きゃー!」ってことになるんじゃないんですか?
そうですよね?? 忍足先輩!!

「ちょたろ…」
「はい?」
「ば…た」
「はい??」

ピョ〜ン

微動だにしない先輩へ何故かバッタが跳んでいく。
そして見事に先輩の持っていたタオルの上へ。

「っ…!」
「あーっバッタが! せんぱ」
「いゃぁぁああああ!!」

そのタオルはバッタごと、空へ。

「やだやだやだやだーっっ!!」
「先輩??」

先輩は真っ赤な顔して、涙をうかべて、俺にすがりよってくる。
かわいい。
思わず俺は悦に入ってしまう程だ。

「バッタ嫌! 虫嫌!! ちょたろのバカッ!!!」

この顔。
この顔がたまらないから、ついつい意地悪をしてしまう。

「もうバッタいない??」
「いませんよ」

この顔の時の先輩には年上の威厳のカケラもないから。
だから
つい意地悪を――。

「本当? って、あー!」
「どうかしました?」
「タオル…砂…洗い直し」

先輩はしょんぼりしながらタオルを拾い集める。

「あっ! そこにバッタ!」
「イッヤー!! ドコドコドコ?!?!」

あーもー可愛い。
これだから先輩イジメはやめられない。


先輩、明日はヘビのおもちゃですから覚悟しておいてくださいね。







拍手に置いていたモノですね。
黒祭より先行夢ということで黒チョタを目指すものの…ビッミョー。
まぁいいじゃないですか。(逃)