例えば、放課後
忘れ物をして、急いで誰もいない校舎を駆け抜け、教室についたら告白シーンに遭遇したくらいの衝撃。
例えば、放課後
フラッと誰もいない教室に戻ってみたら、A君がBちゃんのリコーダーを吹いているのを見てしまったくらいの衝撃。
つまりは、かなり驚いたってコトで……
あまりの衝撃にうっかりドアの所で立ち止まって教室内に入れないでいるのです。
私、は風邪をこじらせて、ここ3日程学校を休んでいました。
で、久しぶりに登校しましたら、おかしなことになっていました。
私の席は窓側、前から5番目。
つまり一番後ろの席ってことです。
そこに人が座って机に伏せて寝ています。
朝早い誰もいない教室で、私の席で眠る人。
「えーっと…」
どうすればいいのよ?
すやすやと眠るこの人。
犯罪的に可愛い寝顔。
オオトリチョウタロウさん。
これは
もしや
新手の嫌がらせ?
座らせねぇぜ!
ってこと?????
「あのー…」
とりあえず、このままってわけにもいかないのでツンツンとつついてみる。
「……ん」
つつかれて体が反応する。
かすかに動く目元、こぼれる声。
ぐっはーっ!!!!!!!!
きゃ…きゃわゆい……。
犯罪ですっコレ犯罪ですって!!
体は無駄に(失礼)大きいのに、この可愛さ!
憎らしい…恨めしい…羨ましい…
「……ん? あー…」
寝顔を見ながらちょっとだ興奮気味だった私の鼻息に気付いたのか鳳君のまぶたがゆっくり開く。
「お…はよ」
とりあえず挨拶をしてみた。
「あ、おはよう? ……さ…ん?」
寝ぼけているのか、いつにもましてボヤーッとした雰囲気だ。
「あのーさ、鳳君ってば私のこと嫌い?」
「そんなことないよ……って……え??!!」
突然鳳君ががばっと立ち上がる、
「さん?!」
どうやら覚醒したようで。
「これは…イジメ?」
目を見開いて私を凝視する鳳君に問いながら、机を指差す。
すると鳳君は慌てて
「あっ席替えしたんだ、昨日」
そう言った。
「え゛?!」
「だからね、昨日席替え…したんだよ。新しい俺の席がココ…」
「うぁっ! ごめんっ!! 私勘違いっうわーっごめんねっ」
「いいよ。そんなに謝らなくて」
鳳君はにこっと優しく微笑んだ。
「……あのーところで私の新しい席はどこでしょうか?? わかります??」
ぼーっとしとくわけにもいかないし、かと言って一つずつ机の中を覗いて自分の席を探すのは面倒だし…
手っ取り早く聞いてみると
鳳君はスッと目の前の席を指差し
「ここだよ。俺の前」
と言って笑った。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして。これからよろしくね」
「あ、うん」
荷物を置いて、座ってみる。
机の中を確認したら私の教科書が出てきた。(いい子は置いていってはダメだけどね、私は真面目じゃないんで)
なんてことをしていると
「本当はね、席反対だったんだ」
と、後ろから声がした。
「え?」
振り向くと笑顔の鳳君。
「さん休んでいたから席そのままココだったんだ。で、俺が替わってソコに来たんだけど…」
ソコと私の今座っている席を示された。
「俺って背あるから座高もあるだろ? そんなんじゃさんの迷惑になるからって替えたんだ」
「はぁ…どうも」
確かに鳳君の後ろだったらちょっと前が見難そう。
「というのが表向きの理由」
「はぃ?」
表向き?
何を言いだすの? この人は
「細工ばっちりでこの席をゲットしましたっ!」
「はぃ?」
「正確にはその席をゲットして、最もらしい理由をつけてこの席をゲット!」
「はぃ?」
「ここだったらいつでもさんを見れるからね」
「はぃ?」
「こうやって話すこともできるし」
「はぁ」
「なんか他もイロイロ細工して席替わってるから当分席替えないと思うよ」
「って、え?」
「次の席替えの時にはさんから細工したくなってもらえるよう頑張るよ」
「はあ?」
「にぶいなー」
鳳君はケラケラと笑う。
にぶくない。
きっとわたしににぶくないっ
だから
今
思っていることは
よかった。まだ誰も来てなくて!
それだけ。
軽い感じのチョタを書いてみた。
うん!やっぱりアコはガッチガチの照れまくりつつも一生懸命なチョタのが好きだ!
だめだよ。チョタくんは女慣れしてはっ!!
ついでに敬語じゃないチョタって何か違和感。デスネ。