「……なんで俺の名前、知っとるん?」


◆まとわり◆


は物凄い形相で忍足の胸座を掴むとジイッと顔を見つめ

「忍足…侑士?」

なんとも言えない顔で問う。

「そやけど……なんなん? 自分」
「私は………………侑士と」

パッと手を離し、正座し床に両手をつく。
忍足の目を見て、微笑むと

「侑士と結婚する為にここに来ましたの」

よろしくお願いします。と頭を下げた。














「はぁ?!」

「まさか『忍足侑士』が丸ネガネさんだとは思いませんでしたわ」
「ちょっ! なんなん?」
「ですから私は侑士と結婚する為に向うの生活を捨ててこちらに来ましたの」
「……(混乱)」
「まだ分かりませんの? 私、侑士の婚約者ってヤツですわvv」











婚約…者…………?











「聞いとらん!」
「あら? そうですの? 私達が生まれる前から決まっていましたのに?」
「知らん!!」
「?? でも決まりは決まりですし」
「解消! 婚約解消しよや、な?」
「いやですわ。私は侑士の為に生まれて侑士のことだけを考えて侑士の妻になる為に育ちましたのよ。そして今、向うの友達も何もかも捨てて侑士に会いにココに来ましたの。 それを全て無駄になんてしたくありませんわ」
「……」
「これから、宜しくお願いします」

にっこりと微笑むと対照的に凍りついた忍足。

5分後、氷帝学園に特大ニュースとして2人のことが知れ渡った。
















「婚約とは大変だなぁ」
皮肉を込めてほくそ笑む跡部。
「マジでマジで?!」
驚く向日。
「ご婚約おめでとうございます」
祝う鳳。
「めでたないわ」
溜息をつく忍足。

正レギュラーの更衣室で忍足は頭を抱え、座りこんでいる。

「はやく着替えないと練習始まりますよ?」
鳳が心配そうに覗き込む。
「する気おきん。今日監督来んのやろ。サボる」
「部長の前でいい度胸だな」
…景ちゃんて呼ぶで?
「(……チッ)好きにしろ」


「サボリはいけませんわ」


男ばかりの更衣室に響くはずの無い鈴のような声。


「アーン?」
「げ!!」


ちょこんと立っているのは

「お前何してんねん?!」
「何って侑士の傍にいるのが私の務めですからvv」
「そんな務めいらんわ」

「もしかしてコレが忍足の婚約者か?」
「うおっ?! 美人じゃーん」
「本当に綺麗な方ですね」

「げへへっ☆ 誉められちゃったvv」
「あーはいはい。良かったな。ってひっつくなや!」



げへへ?



「汚ねぇ」
「あははははっ! おっもしれぇ、もっと笑ってみそ?」
「(苦笑い)」



忍足の腕に纏わりついたままはジッと室内を見渡し
「そこの泣きボクロさん」
「(泣きボクロ…)あ?」
「テニス部の部長さんはアナタかしら?(無駄に偉そうなのはこの方だけですし)」
「まぁな」
「私、侑士専属のマネージャーになりたいのですけど」
「はぁ?! 自分何言うてんねん?!」
「ああ、いいぜ」(即答)
「景ちゃんも何許可してんねん?!」
「景ちゃんって言うなって言ったよな(怒)」
「(ガーンッ!)そんだけの理由で俺を不幸に落とし入れるんか?」
「こーんな美人が専属マネになって嬉しいだろ。(超棒読み)」
「なんなん? その棒読み! っーか景ちゃんの目線の先にカンペあるやん! あの字はお前か? お前やな!!」
ガシッ(の頭を掴んで自分からはがそうとする)
「やぁんvv侑士ったらラ・ン・ボ・ウvv痛いのはイ・ヤ」
「キモイ! キモッ!! 離れろっはーなーれーろーっっもう嫌やぁ(半泣き)」
「あら? 侑士ったら瞳に涙が溜まっていますわ。忍足家の嫡男としてもっとしっかりなさってくださいまし」


こうしては氷帝テニス部(忍足専属)マネージャーとなった。


「最悪や」

悲しい囁きは

「よろしくお願いしますわvぐへへ」

汚い笑い声にかき消された。








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まだ続いてますね。
なにやら婚約とか言い出しましたYo☆
婚約…してるからってすぐに甘々にはしません
だって試練(?)を与えた方が書いてる私が
楽しいから。(サイテイ)

次ちょっとさんの目的が明らかに
なるハズ。ハズったらハズ。
目的あるみたいっすよ。
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