ただ先に生まれただけだ。
ただ俺より人生経験が多いだけだ。
ただ俺より先に生きているだけだ。
ただ
それだけなのに
俺は『生徒』
で、アナタは『先生』
「あーっ待って待ってワカくん」
中身はただの女なのに、ココでは
「なんでしょう? 先生」
こんなにも違う。
◆白◆
大量のプリントを抱え、慌てながら走ってくる女。
制服を着ていないから教師。
……教師…と表現するのもおかしい気がする。
全く教師としての威厳がない。
ただのすっとぼけた女。
「……先生、廊下を走るのはどうかと思いますよ」
「そっそうね。先生が走ったら皆に示しが付かないからね!」
否、そうでなく絶対アナタは転ぶから。
絶対頭で着地するから。
いつもそうだから。
「それと、校内では苗字で呼んでください」
「……だって……クセなんだもん」
ぷくーっと頬を膨らませる。
いい歳をして…
この教師、は今月から産休で休まれる先生の代理としてやってきた。
新米『保健室の先生』
ついでに
俺の歳の離れた幼馴染。
「あっそうそうワカ…日吉くん、あのね」
「はい、何でしょう?」
どうしてこの学校に赴任してきたんだか…
やりにくい。
「えーっと…榊先生に用があるんだけど、どこに行けば会えるかな??」
「……」
保険医が音楽教師に何の用があるんだよ。
「この時間なら、テニスコートにいるんじゃないですか?」
「てにすこーと??」
校内くらい把握しとけよ。
世話が焼ける。
「俺今から部活なので一緒に行きますか?」
「そっかワカくんテニス部!」
「……」
「……ひよしくん」
「そうです。行きますよ」
「あっ待って待って!!」
プリントを抱えて走って追いかけて来る。
そんなに速く歩いているつもりはない。
本当にはトロい。
「……先生、持ちます」
「え??」
の腕の中からプリントの束を奪い取る。
全く手がかかる女だ。
「…ありがとぅ」
でも、この一言が
この笑顔が、俺をそうさせる。
ついつい手を貸してしまう。
今日もそうだ。
ついつい手を貸してしまった。
思えば、これが間違いだった。
浅はかだった。
テニスコートへなんか連れて行くべきではなかったんだ。
「あっ榊せんせ〜い!」
の甲高い声がテニスコートに響いた。
はブンブンと手を振り、教師としてはありえない姿を披露している。
「先生…少しは教員らしくしてはどうですか?」
「え? なぁに」
大人の女性とは思えない笑顔を向けられてはもう何も言えない。
あ…
しまったと思った。
ここはテニスコート。
ここには彼等がいるのだ。
「ワカ〜!!」
ぼふっと抱きついてきたのは鳳。
「暑い。ウザイ。去れ」
「ワカ冷たい…」
メソメソと鳳は悲しそうな顔をした。
何故だかわからないが、コイツも俺にかまってくる。
ウザイだけだ。
「ひよー遅かったじゃんって誰その子」
「向日先輩…その子ってこれでも先生です…」
「マジで?!」
「保健室の先生やんなぁ。知らんかったん?」
「侑士はチェックがはえーんだよ!」
「ぼくもしってるよ。せんせい。ね〜」
「ね〜」とが笑った。おそらく芥川先輩が保健室で寝ているんだろう。
「日吉、遅ぇよ。とっとと着替えて来い」
忍足先輩に芥川先輩、跡部先輩まで…
何故だか知らないが先輩達も無駄に俺に関わってくる。
必要以上に。
そして先輩達は
「、だったか?」
語弊があるかもしれないが、無類の女好き。
「そうですけど? えーっと、あとべくん!」
最近知ったことだが、先輩達は俗に言う(忍足先輩曰く(?)『ドジっ子属性』がツボらしい。
まぁつまりはツボということだ。
「おしたりくんに。むかひくん。あくたがわくん。おおとりくん。」
はさっきから指を折りつつ名前を言う。
何がしたいのだろう?
「榊先生っ! 覚えました!」
そしてニッコリと微笑んだ。
これはマズイ…。
先輩達が…
「ワカく…日吉君、プリントありがと…うきゃあっ!」
は俺からプリントを受け取ろうとして取りそこなった。
そしてプリントが宙を舞う。
マズイ。
先輩達が…ハマる……。
「きゃーきゃーもぅっごめんなさぁいっっっ」
涙目になって慌ててプリントを拾う。
ああ…ダメだ。
わかる。もうハマッた。
絶対。
「せっ先生っ仕方ないなぁ。手伝ってやるよっ!」
「向日君ありがとぅ〜」
一人。
「せんせい。はいこれ〜」
「芥川君もありがと〜」
二人。
「しゃあないなぁ」
「忍足君もありがと」
三人。
「変な女。ほらよ」
「ありがとぅ跡部君」
四人。
「わか〜っ。はいプリント」
コイツは…論外か…
今の所、四人か…
全く厄介な事になった。
こんな事になるなら案内なんてするんじゃなかった。
「…、君は本当にいつまで経っても…」
「すみません。榊先生」
……まさか
五人だろうか……。
「はい。榊先生」
は拾い集めたプリントを渡した。
「顔と名前、全部覚えました。ばっちりです!」
「そうか」
顔と名前?
何のことだ?
「お前達には先に言っておこう。これから先の試合の事を考えると怪我には注意してもらいたい。そこで、先生に手伝ってもらうことにした。怪我をした場合には迅速な処置を。それと」
「何かつらい事、相談したいことがあったらドンドン言ってね! 僭越ながら相談相手もやらせていただきますっ!」
「私に言えないような事でも先生になら言える。という事もあるだろう」
「なんでもいいからね!」
わかった。
つまり、マネージャーの先生版ということか。
しかし…
「いーじゃんソレ! なっ侑士」
「岳人は怪我多いし安心できるしな。まぁそれだけやないけど」
「うれしーせんせいとぶかつもいっしょ。」
「まぁいいんじゃねーの?」
マズイな。
先輩達が凄く楽しそうだ。
「ということで、頑張りますのでよろしくお願いしますっ!」
これからが心配だ……。
つまりは逆ハー(笑)
でも日吉君ヨリ。
ついでに日吉君はテニス部のアイドル(笑)
チョタはヒヨが大好き。皆ヒヨが大好き!
こんな保健室の先生はいないと思う。
設定がおかしいと思う。でも気にしてはいけませんよっ!
アコの趣味ですからっ!!
ということで、たぶんコレって続くと思うよ。望まれなくても続けるよっ(笑)
さてさて、頑張って書こう。おーっ!
……背景真っ白でつまんない。
蝶々の背景がいいのだけれどいい素材がみつからなくて…
これは自分で蝶を描くしかないのかしら????
そのうち背景つけます。