「手塚の眉間の皺って何本あるのか知ってる?」
部活を終え、着替えていると不二がボソッと言った。
■ぶちょうのきゅうじつ■
「2本っすか?」
「越前、大真面目に答えるんじゃない! 不二も馬鹿なこと言い出すな!」
「…僕、見ちゃったんだよね」
ニヤリと黒い笑みを浮かべ、不二は続ける。
「昨日の日曜……」
「っ!!」
「手塚が」
「ゴホンッ! ッッグ……ゲホッッ(咳払いをしてマジに咳き込む)」
ニヤニヤと微笑む不二、明らかに挙動不審な手塚。
「言っちゃおうかな(ニコッ)」
「ゴホッ……ふ…じ……」
「隠すことないんじゃない? 手塚に彼女がいるってこと」
「「「「「「「……」」」」」」」
「不二っ!!」
「まじっすか?!」
「信じられないにゃ。手塚が女の子に甘い言葉を囁くなんて!!」
「年下とか言わないですよね(下だったら犯罪っぽいな……)」
「名前はさん。高等部1年生」
「なっ! そっ!(なぜソレを!!)」
「僕を誰だと思ってるの?」
一同、妙に納得。
「さぁ話そうかvvそれは昨日のことでした。とある公園で」
「不二ぃぃ!!」
とある公園のとあるベンチ。
よくいるカップルがチラリと盗み見、通り掛かりの人が見惚れる、
そんな美男美女が座っていた。
男の名を手塚国光。女をという。
「ぽっかぽかだねぇvv」
「ああ」
「ねぇ、ほんとにこんなとこに来ちゃってていいの? いっつも部活で疲れてるんだから
たまの休みくらい家で……」
「それ以上言うな。俺はと一緒にいられるだけでいいんだ」
「じゃあ今から家帰る?? ダラダラする??」
「それではお前がつまらないだろう」
「そんなことないよ? 私は塚くんと一緒にいられるだけでジュウブンvv」
にこっとが微笑む。
その微笑みが手塚の疲れた体も心も癒すのである。
「どこか行きたい所はあるか?」
「??」
「今日は一日、好きな所に付き合ってやる」
「ってな会話が風に乗って僕の耳に飛び込んできたんだよねぇ」
「不二ぃぃ!!」
「で、不二先輩はモチロンつけたんすよね?」
「……モチロン(くすっ)」
「不二ぃぃ!!!!」
「でもね、期待はずれだったよ」
という手塚の言葉に微笑んだままはサラッと言った。
「ココがいいvv」
てっきりの好きな映画や買い物に行くのかと思いきや、留まると言う。
手塚が眉間に皺をよせる。
「あっ!」
は人差し指を伸ばすとグイッと眉間に押し付けた。
「笑顔v笑顔vv」
グルグルと指を回し、筋肉を緩ませる。
「痛いのだが」
「皺はダメよ? あと気にしてるみたいだから言うけど、私がココ好きだからココでいい
の。他に意味は無いんだからね」
「わかった(気を使わなくてもいいのだが…)」
2人はただボーッとベンチに座り風に身をゆだねていると
すくっ
とが立ち上がり、クルリと回った。
「塚くん、ちょっと待っててね」
クスリと意味深に微笑むと手塚を1人にして走り去った。
「? いつもながら不可解な女だな」
手塚がの去った方を見つめる。
見つめる。
見つめる。
見つめる。
戻ってこない!!
時計を見るとがいなくなってから軽く15分はたとうとしている。
…………。
ずれ落ちたメガネを直す。
平静を装っているが手塚国光の内心はバクバクいっている。
「……(何かあったのか? 事故? 否、それにしては騒ぎが起きていない。道に迷ったの
か?! ありえる。ならありえる! しかしココは地元だぞ? いくらでも地元で迷うか?)」
またまたずり落ちたメガネを直す。
「(……まさか誘拐?! まさかな…………。しかし……ハッ!! よからぬ男に言い寄ら
れているのか?! 俗に言うナンパか??!! ありえる。なら「道教えてくれませ
んか?」の一言でホイホイついて行く!)」
ガタンッ
ベンチが倒れそうな勢いで立ち上がるとの立ち去った方へと駆けて行った。
「……塚くん? どうしたの?」
手塚が顔色をかえて駆けて来るとは両手いっぱいに紙袋を抱えてコチラへ向って来て
いた。
「いや……」
「あーんっゴメンね。心配しちゃった?」
あまりの大荷物にヨロヨロと歩くをサッと支え
「俺が持つ」
荷物を受け取ろうと手を伸ばした。
「だーめっ」
「?」
「ねっ塚くんvv目閉じて」
「?」
荷物を必死に持ち、笑顔で目を閉じれと言う女。
不可解だなと思いつつも言われた通り目を閉じる。
「もぅちょっと、そのままね」
暗闇の向うで
ガサゴソ
という音と
「うわわっ」
何か焦っている様子がうかがえる。
「……まだか?(公衆の面前で目を閉じたまま立っているのもどうかと思うのだが)」
「もう……ちょっと」
「まだか?(目を閉じて5分は経ったぞ)」
「あとすこしぃぃぃ」
「(不可解だ……)?」
「…………あと10秒っ」
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
出来るだけゆっくり数を数えスッと目を開く。
長い間目を閉じていたので日差しが眩しい。
「塚くんvv」
汗をうかべニッコリ笑顔では言う。
「いつもお疲れさま。そして、お休みの日に私の相手してくれてありがとうvvvv」
微笑むは可愛い。可愛いのだが手塚は自分の目を疑った。
これは……何だ?
噎せ返る花の香り。
ふわふわと漂うモノ。
風船…………。
しかもクマさんやらウサギさんやらのファンシー風船。
その全部が手塚を取り囲んでいる。
「?」
「いやぁ、向うにジュース買いに行ったのね、そしたら風船屋さんに遭遇して「お嬢ちゃ
ん風船あげるよ」ってもらってね」
「(お嬢ちゃんって……仮にも高校生だろう……)」
「でね、風船をたーんともらったのよ。これは塚くんをびっくりさせれるなって企んだ私
は風船達をこの袋に隠し持って戻ろうとしたのです。そしたら」
「(まだあるのか?)」
「「その風船を少しわけてもらえませんか?」っていう親子に遭遇したのよ。で、あげたら
お返しにってこんなにお花もらっちゃったの」
「(昔話にあったな。こんなの)」
「風船とお花をゲットした私はこうして塚くんをびっくりさせる為に戻ってきたのです。
びっくりした?」
「(風船より花より、俺がこう飾られているのに一番驚いた)……ああ」
「びっくりしすぎて忘れた??」
キョロと上目遣いで手塚を見上げる。
「何をだ?」
「青学中等部の塚くんを。『部長』も『生徒会長』も忘れていいんだよ。私の前では」
ニコニコしながら
「ココ最近ずっと眉間に皺よせてたでしょう? 気はりすぎ」
「……そうか?」
「そうだよ。たまには心からゆっくりしようよ、ヅ・カ・ク・ンvv」
「そうだな」
ゆっくり手塚の頭がの肩におりてくる。
ポフッと肩に頭を乗せると
「…………」
ボソッと何か言った。
「え? なに? ゴメンナサイッよく聞こえなかっ…」
「はいつまで俺のことを『塚くん』と呼ぶ?」
「ふぇ?」
「その…だな……///」
「……えっと……くっ………くにみつ」
「……//////」
「…国光……今日はゆっくり過ごそうね」
「まぁ結局ラブコメ見ちゃったんだよね」
うわぁ。という視線が手塚に刺さる。
手塚はこれでもかっ! という程顔を真っ赤にしている。
「塚くん……(ぷっ)」
「名前よんでほしかったのかにゃ?」
「(くすくす)あんまりからかうと部活終わったのにまた走るはめになるよ?」
「あっ今3本っす。シワ」
「ホントだ。先輩の前ではシワなかったのにねぇ、手塚vv(ニッコリ)」
「全員グラウンド50周……(怒)」
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500hit飛邑サマへvv
手塚部長ならなんでもオッケイとのこと
でしたが、いかがでしょう??(ドキドキ)
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