この糸目…っーか不二周助と付き合いだして6年が過ぎた。7年目に突入して2ヶ月。
中一から始まりダラダラ(笑)と中学・高校と薔薇色の青春をこの男と過ごしてきた。
そして「あっ」と言う間に大学生。
でも
最近思うのだ。
あれだけトキメイテイタ相手を『糸目』呼ばわりできる私ってどうなのだ? と。
これって完璧アレだよね…
遅すぎる…ような気もする
っーか来るなって感じだった
倦怠期……
今あたしは周助の部屋にいる。
この春から一人暮らししているこの部屋。
ここには何度も来た。何度も泊まった。
半同棲と言ってもいいくらい通っている。
そんな部屋で
決まってあたしが座るのは部屋の真ん中テレビの前に置いてあるソファの左端。
半分寝るように、もたれかかって座っている。
ダラダラしていると決まって周助が右端に座る。
右肘をついて、左手で本なんか持って足を組んで座ることが多い。体重は右より。
別に話すことはない。
ただ同じ時を過ごす。
たまに
「えいっ」
と足で周助を蹴ると
「なに?」
本から視線をずらさず、声をかけてくる。
別に怒っているわけではないのだけれど、こんな反応。
足の指を広げて、周助の服をつまむ。
そして、ひっぱる。
ここまですると
「どうしたの?」
やっとあたしを見るのだ。
「ひーまー」
グイグイと服をひっぱる。
服に飽きると今度は肌を足でつねる。
「指…攣るよ?」
「だいじょーぶ。慣れてるから」
いつもの会話。
いつもと同じ。
新鮮さが全くないのだ。
一緒にいることが嫌になったわけじゃない。
ただ
もっと変化が欲しい。
「ねぇしゅーすけー、どっか行こうよぅ」
「どこに行きたいの?」
「どこでもいーよ」
「そう言われてもね…」
「ぶー」
「ぶー」
「真似しないでっ」
「遠出するにしてもこの時間じゃ無理だし…近くは…」
「行ったことあるとこはヤだー」
「…ワガママ」
「そうですよっ。ぷーっだ」
「ぷーっだ」
「真似すんなバカッ」
ぼふっとクッションを投げつける。
が
あっさりキャッチ。で、投げ返されてあたしが痛い目にあう。
「ひどい…」
「が先に投げたんだろ」
「周助、男。あたしは小さな女の子」
「あ、ねぇソレとって」
「むー…はい」
ソレ=机の上に置いてあったテニスの雑誌。
ソレ・アレで通じる仲。
はぁ…
なんか結婚20年目の夫婦みたい。
「あたしたちさぁ、どうする?」
「はいつも内容がないよ」
「だーかーらー、カンケイ」
「そして唐突過ぎる」
「あのさぁ。倦怠期っぽくない?」
「そう?」
あたしは膝を抱えて座る。
周助の顔は見ない。
「このまま一緒にいて…何か発展する?」
「後退は確実にしないと思うけど」
「ダラダラしすぎてない? 結婚20年目、旦那なんて空気みたい、居ても居なくても一緒。そんな感じくない?」
チラッと周助の顔を見る。
いつの間にか雑誌は机の上。
視線はあたし。
「はどうしたいの?」
「どうって…」
「別れる?」
「それはイヤ…かなぁ」
「僕も嫌だよ」
「そーだなー。トキメキが欲しい」
ドキドキしたい。
あの頃みたいに。
好きで好きで好きで、どうしようもないくらい好きだったあの頃みたいに。
中学生の頃、あたしの心臓は壊れるかと思った。
周助に出逢って、まるで必然かのように恋に落ちて。
ドキドキしながら話しかけて、少しでも周助に振り向いてほしくて女を磨いて。
やっとの思いで告白したら、OKしてくれて。
あの頃の私は世界で一番幸せだった。
そのまま、ずーっと付き合ってて…
何度かケンカもしたけれど、関係は終わらなくて。
いつの間にか
周助=彼氏=傍に居て当たり前
という公式が出来上がった。
周りからは「不二くんが彼氏なの? 羨ましい!」などと言われるけど、それに対して前のような『照れ』は感じなくなった。
普通に「そうだよ」って言えてしまう。
「…愛してるよ」
ふと気付けば、目の前に周助の顔があった。
「……ナニ? とつぜん」
「ときめいた?」
「いや、ぜんぜん。びっくりはした」
「あれー?」と周助は小首を傾げている。
こういうことをする周助を可愛いと思う。
愛しいと思う。
けど
今、近くにスリリングな恋が落ちていたとするならば…
あたしは…あたしは、そちらに手を伸ばすかもしれない。
「はさ、今、幸せじゃない?」
「え?」
「幸せ?」
「まぁ…一応」
「僕は幸せ。となら、一緒にいるだけで幸せ」
「そう」
「僕みたいにひとつひとつに幸せを感じてみようよ」
「例えば?」
「そうだなぁ…一緒にお茶を飲めるだけで幸せ。と老後、縁側でお茶飲みたいなぁ」
「なにソレ」
「僕にとっては幸せの源。好きだよ」
「あーハイハイ」
「僕は今、にとってどんな存在?」
存在?
周助=彼氏=傍に居て当たり前=結婚20年目の旦那=ときめかない=居ても居なくてもどっちでもいい=空気みたいな存在。
「空気みたいな存在かな。居ても居なくても見えない。一緒。みたいな」
「はは…そっか」
なぁんか酷いことズバズバ言ってるなぁ。あたし。
「、自分が何を言ってるか意味わかってる?」
「え?」
ヤバ! 周助、怒っちゃった??
「僕が空気みたい…?」
「う…うん」
うそうそうそうそ! 周助が怒るとか、ありえないんだけど!!
どうしよう! このまま別れるとかに話発展しないよね?!
「それって」
「えと…周助…」
「僕無しでは生きられないってことだよ」
トク…
「え?」
「空気が無かったらは死ぬだろう? 僕がいないとは淋しくて苦しくて死んじゃうよ」
びっくりした。
今、本気でびっくりした。
いま…ドキッてした…
「、顔真っ赤」
「え? ええ??」
周助は空気みたい。
=周助無しでは生きてけないみたい。
ドキドキしてもダラダラしても、あたしにはやっぱり周助だけみたい。
「もうひとつ、ついでにをドキッとさせようかな」
「え? なによぅ」
「大学卒業したら、結婚しようか?」
「ええ?!」
「顔、真っ赤〜!」
「うるさいっっ! ばかっ!」
12000をゲットされた、葉月愛実様に捧げます。
遅くなってしまい、申し訳ありませんっm(_ _;)m
設定が倦怠気味、でも最後はラブラブとのことでしたが、いかがでしょうか??
気味ではなく、期になってしまいましたが…(汗)
こんなのでよければもらってやってください。
リクありがとうございました!
アコ。