好きな子の電話番号。
好きな子のメールアドレス。
好きな子の誕生日。
全部知りたいこと。
でも
本人に直接聞くには勇気が必要。
しかも、相手に嫌われていたら絶対に教えてもらえない。
というか教えてもらえなかったら(嫌われてなくても)ヘコむ。
どん底までヘコむ。もう立ち直れないほど。
ちなみに僕はちゃんの全てを知りません。
知りたいけど訊けないんだ。
ちゃんなら訊いたら笑顔で
「うん、えっとね」
とか言って教えてくれるんだろうけど
訊けないんだ。
普通の女友達なら訊けるのにちゃんは特別だから訊けない。
誰か教えてくれないかな。
とか思っていると神様が僕に味方してくれたんだ。
ふと耳に入ってきた言葉。
「の誕生日って月日なんだ」
「うん。そだよー」
「月日……」
神様、ありがとう!
忘れないうちにメモらねば!
「月日…月日」
忘れないように呟きながら急いで教室に戻る。
忘れてなるものか。
絶対に。
しかしこういう時ほど邪魔が入るもの。
「不二―っ日本史わかんにゃいーっっ。1192年って何があったのかにゃー??」
「1192年(年号:建久3)?! えーっと…鎌倉幕府が成立。源頼朝、征夷大将軍となる…だよ」
「じゃあ、1221年は?」
「1221年(年号:承久3)? 六波羅探題の設置。執権は北条義時」
「にゃー(悩)1332年は〜??」
「それは後醍醐天皇、隠岐へ配流」
「その次の年に?」
「1333年(年号:元弘3)、鎌倉幕府が滅亡したんだよ」
「ありがとにゃーっこれで鎌倉幕府の宿題(プリント)終わったにゃーっ」
「英二、忘れてるみたいだけど…安土桃山のプリントもあるよ?」
「にゃーっっ(ガーンッッ!)」
「それは来週までだから自分で考えようね」
「わ…わかったにゃ……」
「えーっとちゃんの誕生日は……月……日…………?」
やっやばい! 脳が! シナプスが切れかかっている!!
どうして? どうして?! こう急いでる時にかぎって
「不二、ちょっといいか?」
僕は呼びとめられるのだろう?
「どうしたの? 乾に大石? 珍しい組み合わせだね」
「今度の5日のことでちょっと」
「5日?」
「学校の都合で練習休みなんだ。不二は5日予定あるかな?」
「部活だと思ってたからね…ないと思うけど」
「それはよかった」〔書き書き〕
「何かするの?」
「しようかと思って」
「次は、菊丸に訊きに行こうか?」
「そうだな。英二は教室にいるのかな?」
「さっきあっちにいたよ」
「ありがとう。行こう乾」
「ああ。…そうそう不二」
「なに?」
「この前借りた英語のノート。since1835のsinceの綴り間違っていたよ」
「え? 本当?」
「珍しいミスだったから笑ってしまったよ」
「あとで直しておくよ」
どうして?! 今日にかぎって!!!!
「不二」
まただよ。
「手塚?????」
「どうした?」
「ううん、なんでもないよ」
「5日のことは聞いたか?」
「うん。今聞いたよ」
「そのことだが、越前が11時30分、桃城が12時以降がいいそうだ。河村が夜は都合がつかないらしい。不二は時間大丈夫か?」
「うん。平気だと思うよ」
「そうか。それと越前からの伝言だ。『携帯を買ったので番号を知らせておく』」
「直接言えばいいのに」
「委員会の仕事があるそうだ。部活後は知らせるのを忘れそうだからと言っていた。『番号は…』」
「え?! 今言っちゃうの?」
「不二ならこれくらい覚えられるだろう」
「う…うん……」
「『番号は090………メールアドレスが………』だそうだ」
「(アドレスまで!!)…わかったよ」
「菊丸にも知らせなければならないのだが、教室にいなくてな。どこにいるか知っているか?」
「あっち…乾と大石もいると思う」
「すまない」
どうしてっ! こうも邪魔がっっ!!!
「えーっとちゃんの誕生日は………………」
「不二先輩」
「えっ越前?!」
「なに驚いてるんすか?」
「いや別に…」
「ぶちょーから聞きました? バンゴウ」
「うん。今聞いたけど」
「そうっすか。アレ間違ってたんで訂正に来たんすけど」
「……」
「まず最初。090じゃなくて080。で、56じゃなくて36。以上っす」
「……う…ん」
「じゃ次の訂正に行くんで」
おい越前。委員会はどうした?(怒)
どうしてどうして??!!
今日にかぎって!!!!!
「ちゃんの誕生日は……………………」
「誕生日は……………………………………」
「……たんじょうび…は…………」
頭を抱え込みうずくまる不二に近付く五つの影。
「不二の顔が真っ青だにゃーっ」
「不二、どうかしたのか?」
「大丈夫か?」
「不二?」
「どーかしたんすか?」
間が悪いとはこのこと。
・・・・・・・・・・お前等
ブチッッ(何かがキレた音)
「お前等のせいでなぁ!!!!」
「…不二がキレたにゃ!(恐怖)」
ガシッ(菊丸の襟をつかむ)
「せっかくせっかくちゃんの誕生日を覚えたのに鎌倉だぁ?! んなもん教科書見ればイッパツだろうが!!」
「ごごごっごめごごめんにっゃっっっっ」
菊丸の襟をつかんだままグリンと首をまわし
「5日だぁ?! んなもん部活前に訊けよ! sinceの綴りが言いたいなら1835まで言う必要ねぇだろ!」
「手塚も越前のパシリなんかすんなよ! だいたい越前もケータイ買ったならメールの1つでもよこせはすむ話だろう?! こっちの番号とか全部教えてやってんだからそれくらいしろよ!!」
「せっかく…せっかく……ちゃんの誕生日……わかったのに……お前等が余計なことばっか言うから忘れちゃっただろう」(半泣き)
「不二くん?」
あまりの騒ぎに(いつのまにか)集まっていた人だかりからピョコっと一人の少女が顔をだす。
「ちゃん…」
「えっと……なんかよくわかんないんだけど。私の誕生日でもめてるの?」
「ちっ違うよ。その……(あーもーっ恥ずかしい。ちゃんが僕のこと見てるよ///)」
「私の誕生日はね、月日だよ」
「月日…僕に教えてもいいの?」
「え? うん」
「訊いたら何でも教えてくれる?」
「う…うん。大抵のことなら」
「じゃあ後でケータイの番号訊いてもいい?」
「うん」
「アドレスも?」
「うん。いいよ」
「教えてくれたら電話しちゃうよ? メールするよ?」
「大歓迎だよ」
「ちゃん」
「どうしたの? 不二くん??」
「…ありがとう」
「????」
神様 これでやっと少しだけ僕とちゃんの距離は縮まりそうです。
「…不二がキレたの初めて見たにゃ(こわいにゃーっ)」
「いいデータがとれたよ」
「恋がからむと人はかわるんだね」
不二のすぐ後でこんな会話が行われたことに幸せに浸る彼は気付かなかった。
後に不二からのもとに最初に届いたメールが
『好きどす』
緊張のあまり打ち間違えた告白だったことは不二とだけの秘密の話。
+++++++いいわけ+++++++
白不二…わっわかんない。
ごめっごめんなさい。
白っていうかアホ…これアホです。
1400HIT有稀加春サマに捧げます。
ごめっホントにごめんです。
加春ごめんよぉーっっっ(土下座)
白不二様…いつかリベンジいたします。うう(泣)