ひとこと ことばがききたいの。
■ いいよ ■
嫌なことがあった。
理不尽だ。
とても。
私だけ責められて、責められて…
「私のせいじゃない。私は悪くない」
そう言いたくても言えない。
涙がでそうになる。
けれど、泣けない。
泣いたら「私が悪かった」と認めてしまうようで。
「は強いね」
そういえば、不二くんにそう言われたことがある。
なんでも見透かしたような笑顔で言われた。
「弱い女になんてなりたくないわ」
そう答えたら
「本当に強いね。外見だけ」
と、言葉を付け加えられた。
外見だけ。そう言われた。
…私は、弱くはないと思う。
こうやって嫌なことがあったからって、いちいち顔に出さないし。絶対人前では泣かないし。
でも
不二くんの言うとおり
外見だけかもしれない。
だって、顔にださないだけで、つらいし、きついし、悲しいし…
人前では泣かないけど、家に帰ったらなんだか泣けてきちゃう時もあるし……
「まゆ毛が『ハ』のような『へ』のような『N』のような…変なの」
クスクスと笑い声。
人をこばかにしたようなこの声は…
「……。なんでいるの? こんなとこに」
「ちょうど通りかかって」
「通りかかってって…」
目の前には半笑いの不二くん。
半笑いってトコロがとても気になる。
「なにかあったの? もしかして僕、いいタイミングで来た?」
「……別に」
本当はちょっと…かなり…へこんでた。
すぐにでもこの場から立ち去りたいくらいだった。
「あーあ。また強がっちゃって」
「……強がって…ない」
こういうところが強がりだ。
本当は言いたいよ。
「嫌なことがあったの。へこんでるの。かなしいの」って。
でも言えないよ。なんだか変なところでプライド高いから。
「」
「なによ?」
不二くんはにっこり笑った。
そして
「大丈夫。大丈夫」
「っ…ぇ?」
「大丈夫だからとりあえずこの場は頑張って」
「は…? う…ん」
「帰ってきたら、泣いてもいいよ。泣きやむまで傍にいるから」
「…っ!」
「じゃあね。またあとで」
彼は去って行った。
一度も振り返らずにとっとと行ってしまった。
まぁ、そうしてくれて助かったのは私なんだけど。
だってたぶん今の私の顔。ぶさいくだから。
心の内を見透かされて、半怒り、半照れ。
彼の言葉に、半泣き、半安心。
そんな顔だから。
とりあえず、あと何時間か、頑張らなきゃいけない。
不二くんが「大丈夫」だと言ってくれたから頑張れる。
大丈夫。
そして
帰ったら、今日あったこと不二くんに話して、すこし泣こう。
泣いてスッキリしたらまた明日から頑張れる。
嫌なことがあった。
理不尽なことだった。
でも
彼のひとことでまた頑張れる。
学校でも職場でも「なんでや?!私悪くないやんけ!!お前っ!!お前――っっ!!」なコトってありますよねぇ。
今日アコありましたのヨ。ってかいっつもや!!(笑)(笑えないけど)
ってことで、こんなん書いてみましたよ。
「ひとこと」って大きいよねぇ。
「いいよ」って我慢してきたことを許されるのっていいよねぇ。