「竜崎センセvv」
「なんだい? 
「あのーお願いがあるんですけど」


■マネ、企む■

「ピッピ――――ッッ」

部活が始まって数分も経たないうちに高らかに『マネ笛』が鳴った。
「レギュラー+レギュラージャージに袖をとおしたことがある者集合してくださーいっ」
メガホン代りにプリントを丸めテニス部マネージャーが叫んだ。

「はやく来ないと校庭無期限に走らせちゃうんだからーっ」

「にゃににゃにー?」
ぞくぞくと人が集まってくる。
「何かあったのか?」
部長・手塚が眉を顰め尋ねる。

「えっとですね」
全員集まったことを確かめると
「かくれんぼ、しましょ☆」
は笑顔でキッパリと言った。


「「「かくれんぼ??」」」


全員の頭の上で?が点滅する。

「ハイvvここんトコ(っーかいつも)レギュラーの方々ばっか練習して雑魚ジャー生徒(酷
い)が練習できていないでしょう? 1年3人組はテニス部員ってゆーか実況部員になっ
ちゃってるし」

言われてみればその通りである。

「それにレギュラーの方々って老け……(汗)ちっ中学生なのに、こう子供らしくないっ
てゆーか……そっそう! 練習のし過ぎで疲れてそうだから、私と一緒に骨休め☆遊びま
しょvv」

「馬鹿なこと言うな! 、グラウンド30周」
と、部長が言うかと思えば

「そっそうか。がいうなら……」
アッサリ肯定する。

「たまにはいいかもね」
それに副部長も続き

「いいね。おもしろそう」
「だね」
不二、河村も

「かーくれんぼー☆」
モチロン菊丸も

「いいデータがとれそうだ」
ノート片手に乾も

「いいっすね、やりましょーよ」
「ふしゅー」
桃城、海堂も

「ふーん。いいんじゃない」
と越前まで続いた。

誰一人として否定しない。

「そっvvよかったvvvv」
ニッコリ微笑むにかなう部員など一人としていないのだ。

そう――

惚れた女にはかなわないのだ。



「でっはー時間無制限。最後の一人が見つかるまでガンバリましょー♪」

「おー」

「はいはーいっ最初の鬼は私がやりまーすvv」
元気に手をあげる。

(なに?!)全員の心の声。

「ついでに、イッチバン最初に見つかった人にはお仕置きで、最後まで隠れきった人には
私からご褒美をあげちゃいまーすvv」

(なに??!! 褒美!!!!)全員心の声。

「では100数える間に隠れてくださいね☆あっあとあと、隠れる範囲はこの学校内で限定
でお願いしまーすvvいーち、にー、さーん」

両手で目を隠し全員に背を向け、数を数え出した。


バチッッ
静かに火花が散る。

褒美は部長である俺がいただく(手塚)

部長だなんて関係ないよ。邪魔するヤツは容赦しないから(不二)

ちょっとちょっと穏便にいこうよー。(と、誰かがラケットを手渡す)っしゃーっ!! 燃
えるぜバーニンッッ!! 褒美は俺のモノーッッ(河村)

データによるとあの場所が盲点になるな、否しかしそれでは周囲が……(乾)

さっさと隠れた方が見つかんないのに。まだまだだね(越前)

ゆらーんゆらーん(海堂)

アソコなら見つかるワケねぇっての(桃城)

にゃんにゃんにゃにゃーん♪(菊丸)

みっ皆、褒美もいいけどお仕置きもイイモノかもしれないよ??(大石)





「……くーずーはちー、くーずーきゅー、ひゃーっっく」



はバッと顔をあげ、辺りをキョロキョロと見まわす。

「ぐふふ(笑)vv」

不気味な笑い声をあげると鼻歌まじりに駆けて行った。





「おや、奇遇だね」
「乾、お前もか……」
メガネ同士、もとい手塚と乾がバッタリ☆顔を合わせた。
ここは屋上。
ちなみに真面目な顔をぶっこいていますが、いい年してこの二人は『かくれんぼ』の真っ
最中だということを忘れてはいけない。
「ここはの動きが一番よくわかるところだからね。(がここに来る確立は35%)」
「二人で隠れるというのは」
「不毛だな」

しばらくの沈黙の後

「ここは譲ろう」
手塚が引いた。

同じ頃
テニスコート内では
「不二先輩、どうしたんですか?」
雑魚ジャーに袖を通し、部員に溶け込む不二がいた。
「堂々としていれば、以外と目立たないモノなんだよ(にっこり)」
「はぁーっ頭いいっすねー。でも、なんか雑魚ジャー(自分で言って哀しい)着てる不二
先輩しんせ……ガホォッフェッッ(倒)」
「好きで着てるわけないだろう(ニッコリ…)」
尊い部員を犠牲にして不二が隠れ(ているのか?)……微笑んでいた。

「リョーマ様だーvv」
「えっ? えっっ? リョッリョーマくんっ!!」
二人の少女が以外なところで王子を発見した。
「……うるさいんだけど」
「ちょっ…リョーマくん危ないよぉ」
長いみつあみがピョコピョコ動く。
「……みつかったら、どーしてくれるの?」
越前リョーマが座って(隠れて)いるのは木の上。
「みつかるって……? そんなことより危ないよぉっ」
更にみつあみが揺れる。
「すこし黙って……うぁっ!」
「危ないって言ってるだろがぁっっ!!」
突如少女のみつあみがシュルシュルと伸び、越前の足首に絡み付き
「どりぃやぁぁぁっっ!!」
少女の掛け声と共に越前の小柄な体が宙を舞った。
ドサッ
「きゃぁぁっっリョーマくん大丈夫??」
落下した(させられた)越前に少女が近付く。
「……(憤怒)」
越前は少女を睨みつけるとその場から去った。
そして心に思った。
不二先輩の次に……人間じゃない…………と。


ユラーンユラーンユラーン……
揺れている。
いつにもまして海堂が揺れている。
「ふしゅ――――っっ」

ユラーンユラーンユラーン…………
海堂が隠れている所は、図書室。
と言っても書庫。めったに人が来る場所ではない。
そこで静かに海堂は揺れていた……(淋しいね……)


「見つけられねぇな、見つけられねぇよ」
一方、桃城が隠れている場所は職員室。
「桃城、部活はいいのか?」
と先生に不審がられているが
「まさかココにいるとは思わないだろ」
ご機嫌で数学教師の机を占領していた。
本人は気付いていないが、端から見れば
「あっ桃城君だ」
「いま部活中のはずだよね?」
「何かやっちゃったんじゃない?」
などと『説教中の生徒』というレッテルが貼られていた。


そしてここにも一人、虎視眈々と隠れている男がいた。
「ここなら大丈夫だな」
その男の名は大石。
隠れている場所はプール。
「まそかは俺が泳いでいるとは思わないだろう」
もし、が現れても潜ってしまえば切り抜けれると思っている。(ちょっとアホね)
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ」
突然、水泳部の顧問(女)が叫んだ。
「おおおおおっっっおおおおおおおおお」
大石の方を指差しながらガタガタと震えている。
「あの? 先生??」
「おおお大石くんんっっっななっ何があったの??」
「はい?」
「髪を金髪に染めちゃうだなんて!! 悩み? 悩みなの??」
「はい??」
ハッ!!
そこで大石は気付いた。自分の水泳キャップが黄色だということに!!
「先生……キャップです(涙)」
頑張れ! 大石!! 負けるな!!! 大石!!!!


「ここで大丈夫かなー?」
と弱気発言をしているのは河村。
隠れる途中、ラケットを手放してしまって通常モードなのである。
ちなみに隠れている場所は教卓の下。
一番普通に隠れていた。


「にゃんにゃんにゃー♪」
菊丸が隠れている場所は体育倉庫裏。
のんきに唄いながら座っている。
「ぼかぼか陽気は眠いにゃー」




「ピッピッピピピピッピピッピピ――――ッッ☆」


突如マネ笛が鳴った。

説明しよう! マネ笛には隠された(?)機能(?)があり吹く回数、リズムによって様々
な意味を持っているのだ。つまり、モールス信号のようなものだ!
「ピッピッピピピピッピピッピピ――――ッッ☆」
の意味は
「きゃーっ助けて―」
最後の☆に
「至急」
の意味が込められている。

常人ならぬ耳でマネ笛音を聞き取ったレギュラーの面々は笛の鳴る方へと猛ダッシュで駆
けて行った。


「どうした?!」
??」
「大丈夫か!!」
数秒と経たないうちに全員がの元、部室に集まった。

「うっわぁ。はやかったデスネvv」

息を切らし集まった皆の前では笑顔でストップウォッチに目をやる。
「スッゴーイ。笛吹いて、45秒で揃いましたねvv」

何事もなかったかのように微笑むを見て、全員がヘロヘロと座りこんだ。


「助けてって何かあったかと思った」
「無事でよかった」
各々安心したかのようにを見上げる。

「ゴメンナサイ」
一言謝って
がすっと手を伸ばした。

「クニクニ(手塚のあだ名らしい……)メガネずれてる」
と手塚のメガネを正しい位置に戻した。

「フジフジ(不二のあだ名らしい……)髪が風で」
ナデナデと髪を綺麗にする。

「バニバニ(河村のあだ名らしい……バーニンからか?)顔にチョークの粉ついてる」
親指でそれを拭う。

「貞子(乾のあだ名らしい……)メガネくもってる」
メガネ拭きを手渡す。

「ママ(大石のことらしい)頭濡れてるよ?」
タオルでフキフキと拭く。

「英ちゃん(菊丸のことだ。まともなあだ名)はっぱついてるよ」
はっぱを取ってあげる。

「桃くん(マトモだ!)汗かいてる」
タオルで拭く。

「マムっち(……哀れ)眉間にしわ」
眉間に指をあて、グリグリする。

「リョンリョン(……)足首に毛がからまってる……」
少し怯えつつソレを取って捨てた。

「どーも」と全員の顔が赤くなる。


「えっーと『かくれんぼ』おつかれサマでした」
ペコっと頭を避ける。

「それで、が本当にしたかったコトは何だ?」
かくれんぼが何の意味も持ってなかった事を察した手塚がに尋ねた。

「あはは☆バレちゃいました? えっとですね、私のしたかったコトは部室に入ればわか
ります」

どぞどぞ♪とが部室を指し示す。

不審がりながらも部室の扉を開けた。


ソコには
机の上に並べられた数種類の料理やお菓子が並べられていた。

「これは?」
という全員の問いにが笑顔で
「お疲れパーティー☆in部室ですvv」
と答えた。

「骨休めってのは本当です。皆さんずぅぅっっと頑張ってたから。竜崎センセにお願いし
て許可もらったんです」

手塚「
不二「ありがとう、嬉しいよ(にっこり)」
大石「本当、嬉しいよ」
乾「これは予想外。いいデータがとれたよ」
河村「ああっありがとう」
菊丸「――っっvv」
桃城「感動っすよ、センパイ」
海堂「……ふしゅー///」
越前「先輩、どーも」

「あははーvv雑魚ジャー達には秘密ね」



「ところで、
にっこりと不二が言った。
「『かくれんぼ』のご褒美とお仕置きは何にするつもりだったの?」

「えっ?」

「まさか、考えてなかったとか??」

実は全くその通りなのだが
「いいっいえっ! ちゃーんと考えてましたよ」
売り言葉に買い言葉である。

「ふーん……で、何だったの?」


「……………………えっえと……………………お仕置きは……そう!」

がズビシッと指を立てて

「お仕置きが、1週間私(マネ)無し生活で、ご褒美が……(どうしよう……)」

「(そのお仕置きイタッッ!!)」全員の心の声。

「ごっご褒美が……私からの…ちゅー…とかじゃダメですか??」
が頬を赤らめ言った。

「(!!!!!!!!!!!!!!!!!)」全員の心の声。


どうやら第二回『かくれんぼ』開催決定のようだ。







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逆ハーになってます?

ヒロインのあだ名センスは……なんでしょか?
あんな変なあだ名つけても皆大好きですから!
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