「また、ケガしたの?」

大声をあげながら保健室に駆け込んできたのは

「イタイにゃーっ(叫)」

菊丸英二。

「飛びすぎ」
「(そんな言い方……)仕方ないにゃ、これが俺のプレイだから!(断言)」

今日は二の腕を擦り剥いたらしい。
血が滲んでいる。

「消毒はソコ」
「(ガーンッッ!)がやってよーっ」
「一生徒である私が勝手に手当てをしていいと思ってるの? 保健医がいないの、私は留守番」
「そー言いながらもいっつも手当てしてくれるじゃん(逆ギレ)」

軽く溜息をつくと椅子から立ち上がり

「これくらい手当てしなくても大丈夫」

ペシッ

「(!!)」

英二の剥き出しの肌を叩いてやった。
声にならない悲鳴をあげている。

、今のは可哀想だぞ」

「アナタは胃薬?」

英二がバッと大石の背に隠れ
「イタイーッ」
叫んでいる。

「(胃薬は常備しているよ)ちょっと英二の様子を見に…ね」
「だと思った。はやくソレつれてって」

ヒラヒラと片手をふる。

のバカーッ! ソレって扱いは酷いし、彼氏の手当てくらいしてくれてもててじゃん」

「誰が誰の彼氏?」

冷たく一言。

「私は英二と付き合っている自覚はないわよ」

「(ガーンッ)いっつも好きって言ったら「私も」って言ってくれてた」
言い終わらぬうちに
「友達としてね。Likeよ」


沈黙。


「うわぁーんっ」
英二が泣きながら(絶対ウソ泣き)部屋から出て行った。

「追いかけなくていいの?」

呆然と立ち尽くす大石の方を向き、椅子に座る。

「あぁ……」

大石の顔があからさまに困惑している。

「大石も私と英二が付き合ってるとか思ってたの?」

「……あぁ。あれだけ毎日「好き」「私も」を繰り返してたから、てっきり」

「だって好きだもの英二のこと。もちろん大石も好きよ」

これは本当の気持ち。
私は皆が好き。

でも、それは『恋愛感情』ではなく
『友情』としての『好き』

「もちろん、ソコで立ち聞きしてる桃も好きよ」

さっきからガラス窓の外に見えるツンツン頭は

先輩、ケガしたっす」

桃城武。

「桃って名前、タケシよね。なんだか某ドラえもんの某ガキ大将を思い出すわね」

先輩、怒ってます?」

「立ち聞きされたら気分は悪いわ」

「すみません(しょんぼり)」

桃も腕を押さえながら保健室に入ってきた。

「どうしたの?」

英二の時とは違ってちゃんと傷口を見る。
(だって英二は毎日毎日キズをつくってやってくるんですもの)

「桃がケガなんて、めずらしい」

「ちょっと、はしゃいでて」

「ふーん……あっ大石、ソコの棚から茶色の小瓶取ってくれる? あっありがと」

素早く処置を済ませると

「はい終わり。部活頑張ってね」

大石と桃の背中を押し、室外へと出した。



「どうして、こうテニス部ばかり来るのかしら?」

昨日は英二、越前、あと乾が来たわね。
その前は英二、河村、付き添いで大石。
その前は英二、海堂、ケガもしてないのに不二。
その前は英二、付き添い大石。あと手塚。

なんなの?
テニス部ってそんなに練習ハードなのかしら?


「どうなってるのよ」

私は乱暴に扉を開けるとテニスコートへと向った。






「菊丸先輩、また先輩のトコ行ってたんすか?」
「おチビー(泣)にふられたにゃー(号泣)」
「くすっ馬鹿だなぁ英二は。だから言ってただろう、が英二に気があるなんて勘違い
だって(ニッコリ)」
「菊丸、グランド30周」
「ふしゅー」
「データによると『抜け駆け』に対する罰としては妥当だな」

ここはテニスコート。ただいま菊丸イジメの真っ最中。

「みんなヒドイにゃーっ」

つまり、今日もの元に行き尚且つ告白までしたという行いを責めているのである。

要約すれば

はまだ皆のもの。手は出すな! 落とすのは俺だ!!』

ということである。



「何よ、練習してないじゃない」



突然声がした。

その声の持ち主は



テニス部のアイドル(…?)

予期しなかった登場に一同、呆然。


「……(ハッ!)(正気に戻る)練習していないのではない。今、話し合いをしていたところだ」

「ふーん、今から何するの?」

「ダブルスの練習…だ(焦)」

菊・大「(唐突スギッ!)」

「ねぇ、タカさんダブルスやろうか(ニッコリ)」
「燃えるぜパーニンッッ」

「なんかいきなり皆やる気モードね」

全員「(鋭いっ!)」


「少し、見学していいかしら」

全員「モチロン!!」







この日、青学に偵察に来ていた他校の生徒はこう語った。

「今年の青学は鬼のように強いです」

と。








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題して『保健室の女。』
なんか火サスみたい。
フォルダ整理してたら出てきたの。コレ。
ちなみにAもあった。
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