人の恋路を邪魔する者は
馬に蹴られて……遠くに飛ばされてください。
お願いします……


■神様ヘルプ■

はぁ……
いつ見てもカッコイイなぁ……

ここは3年6組前の廊下。
私、は恋してますvv
この教室の前にいるからって、身の程を知ってます。青学のアイドル達には恐れ多くて
手が出せません。
私の愛する彼は

「窓側から2列目、前から3番目?」

そう! その方デスvv
って……?

「えぇっっ??」

「いつも彼のコト見てるよね?」
声のする方を振り返るとソコには
光り輝くスマイル。漂う王子の気品。青学テニス部の天才。
「ふっ不二くん?」
「あっ名前知っててくれたんだ」

知ってるも何も、アナタのコト知らない人なんていませんよぉっっ(汗)

「確か、さんだったよね?」
「なななななっなぜ私のののっ……なまなま」
「名前? 知ってたよ。だってキミ可愛いし」

ウッウソです!!

ぶっちゃげますけど私は可愛くなんてアリマセン……(泣)
十人並デス(号泣)

「キミ、図書委員でしょ。よく図書室行くからね」

あぁ、そうですか。
図書委員で仕事ちゃんとしてるの私だけですしね(委員長)

「で、彼のこと好きなの?」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


バッ……バレて……る??

「ななっ何を仰りやがりますのことですか?」
さんってわかりやすいね」

あぁ、そんなステキな笑いを振り撒かないでください。
彼の前だけどドキドキしてしまいます。

「あのあのっ内緒にしててくださいね?」

同じクラスの人にバレたんだもの。口止めしとかないと。

「モチロンだよ。人の恋路を邪魔する奴はってね」

そう言って不二君は笑ってくださいました。
なんて優しい方なのでしょうvv

「あの、それではお昼休みも終わってしまいますので失礼します」

駆け出す私にヒラヒラと手を振ってくださっています。
あの方は王子様デス。実際に王子様は存在するのですね。なんだか感激です。



「ふーじっ」
「なに? 英二」
が去った3-6では
「さっきの娘、だぁれ?」
「ふふっまだ秘密」
こんな会話がおこなわれていた。



っまた6組行ってたの?」
「うん、彼のこと見に行ったんだけど……」
そうです。目的は彼だったのに
気がつけば

「不二君とお喋りしてしまいました」

不二君が眩しすぎて彼がくすんでいました。
ゴメンナサイ。くすんでてもアナタのことが好きデス。
「マジで? 不二君と話したの? いいなぁvv」
ハイ。正直、貴重な体験が出来たと思っています。
これから先、2度と会話することなどないでしょう。

『キーンコーンカーンコーン』

あらあらタイムオーバーです。
授業の開始です。
次は数学デス。苦手デス……







さてさて、午後の授業も終わりましてそろそろ
「せんぱーいっっ」
来ました。来ました。
「わかってるから、行ってきていいよ」
「くぅーっっありがとうございます!!」
この頃、体育会系の部活は忙しいようで図書委員の仕事なんてやってられないのです。
委員の仕事はヒマなのでこんなことをやらせるのは忍びないのです。
ですから今日も私が本と戯れるのです(悦v)









本というのはデリケートな物です。

返却された本の一部は破損して戻ってきます(泣)
「あらあら、貸出カードが破れてます」
この本の貸出カードが破れているので、新たに書き直すことにしました。
つらつらと書き直していると見知った名前に出くわしました。

「不二…周助……」

なんとっ不二君の名前があります!!
直筆です!!
なんだかお昼のコトを思い出してしまいます。
いけませんっ浮気デス!!(怒)

「言ったでしょ。図書室にはよく行くって」

貸出カードを凝視している私の頭の上から声がします。
このステキ声はっ

「不二君?」

おおっ王子がニッコリと微笑んでいます!!
青く輝くテニス部のレギュラージャージを着て立っています。
「返却期限が今日だったの忘れててね。抜けて来たんだよ」
そそそっそんなっ律儀に期限を守ってくださるだなんて……
感激です。

「すすっ少しくらいなら遅れても大丈夫っですっっ」

あぁっ言葉が上手く出ません。アホみたいです。

「でも、遅れたら大変でしょう?」

そうです。その通りです。督促状書くのは以外とタイヘンな作業なのです。
でも……
不二君宛に…書いてみたかったデス(本音)

「はい、コレ返却お願いできるかな」
「モチロンです。わっ私でよければっ」
「くすくす」

あぅぁっ笑われています。
きっと変な奴だと思われています。
お願いですから、彼の前で私のコト変な女扱いしないでくださいね。

「じゃあ、僕は行くよ。仕事、頑張ってね」
「はっはい。お心遣いもったいな……いえっありがとうございますっ」
うぐっまた笑われています。笑顔のまま図書室を出ていかれます。

「あっ」

不二君がドアの所で立ち止まり、こっちを向きました。
「ココからテニスコートってよく見えるね。僕、意識しちゃうよ」
と、言って出ていかれました。

「……わっ私のほうが意識してしまいます」

思わず本音がポロッと出てしまいました。
カウンターから出て、窓から下を覗きます。
不二君の言う通りです。
テニスコートが良く見えます。
気付きませんでした。
穴場です。穴場発見です。
テニス部ファンの方に教えたら喜ぶでしょう!

でも
ファンの方に居座られると、迷惑です。図書室は静かに過ごす場所ですから。
「秘密にしておきましょう」

あっ!!!!!!!

ちょっと待ってください。
テニスコートの向こうに見えるのは、グラウンドではないです??
いろんな物が重なってちょっとしか見えませんが、間違いなくグラウンドです。
ということは

「あぁっvv」

彼です。走っています。素敵ですvvvv
あぁっ行ってしまいました。もう見えません。
がっくりと視線を落とすと

「??」

誰かが手を振っています。
「ああっ」
ふふっ不二君ですっ
不二君が笑みを浮かべつつ手を振っています。
はっ恥ずかしいデス。
あわわわわ(焦っ)
あータイヘンです。不二君が手塚君に何か言われています。
手塚君は部活中、とても厳しいと聞いています。
だっ大丈夫でしょうか?
あっ手塚君までコッチを見ています。

ガバッッ!!

つっつい勢いで窓の下に隠れてしまいました(汗)
なんなんでしょう、この態度は! 怪しい女です。

うぅっ(泣)もぅ仕事に戻ります。貸出票を書いて、返却された本を棚に戻さなければいけません。
そういえば、不二君の借りていた本とはどんなモノなのでしょう?
なんだか興味があります。
王子の読まれる本とは!!

「…………??」

コレは……はて?
以外です。てっきり文学系の本だと思っていました。
可愛いです。
王子、可愛スギです!!!!
動物の本です。
タイトルは『にゃんこさんにいぬさん。にわとりさん』ですっっ
これは、なんといいますか。
王子の知られざる一面を見たといいますか……
それでは、貸出カードの方はどんな本なのでしょう?

「…………????」

コレはっっ
いっ以外です。
タイトルは『左手による攻防』
どうやら黒魔術……ですか??
それ系の本のようです。
借りた人は不二君と………
「え…………??」
くっ黒魔術ブームなのでしょうか??(汗)
上から
不二君、手塚君、大石君、菊丸君、乾君、河村君、海堂君、桃城君、越前君……
テニス部レギュラーの名が綴られています。
テッテニス部…奥が深いです。謎です。










−翌日−
―っ」
突然友達が飛びついてきました。
「なっなに??」
ビックリです。
いったい何事でしょう?
「あんた不二君とつきあってるってマジ?!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・??????

ハイ??

なんですと????

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・????

私と、誰が??

今、このお口は『不二君』と言いやがりました?

「どーなの?? ホントなの、ウソなの??」
「うっうそですっっっっ」

当たり前です。ウソです。私の好きな人は別にいますからっっ

「よかったー。このウワサ学校中に広がってるからホントかと思っちゃった」

ウワサ…………学校中………………………?

サア――ッッ(血の気の引く音)
ヤッヤバイです。
彼に誤解されてしまいますっっ
「うあーっっどどどっどうしましょう?」
私に残されている選択肢は少ないです。

@噂がこれ以上広まる前に覚悟を決めて告白する。
A噂を払拭するべく走り回る。
B人の噂も75日。我慢する。後、告白(するかも……)


いっ@でお願いします。

ファイナルアンサー?
ふぁいなるあんさーで……


払拭するのはムリでしょうし、噂というのは一人歩きをしてしまいます。
それに相手がもったいなくも不二君ということなので、不二君ファンに早々にシメられて
しまいます。
ならばチャッチャと告白して上手くいけば噂はウソだということが立派に実証されますし、
玉砕したらしたで失恋モードの私には関係の無い噂だと実証されます。

いざ、勝負です!!!!

私は行動を決めるまでは遅いですが、決めたらチョッパヤです。
早速、6組へ。
そして彼を呼び出すことになんとか成功しました。
そのまま中庭まで連れて来ると
「なんだよ」
彼は相当不機嫌です。
当たり前です。有無を言わさずココまで引っ張って来たのですから。
「あっあの」
なんだか告白しにくい雰囲気です。
しかしっ片思いも長いですし、いいかげん決着をつけたいのです!!
「すっっすすっ」
「?」
「好きですっっ」
いっ言えました。ついにとうとう言えました!!!!
「…………」
彼は無言デス。うぅ(泣)
が? 俺を?」
こくこくっと頭を振ります。
「不二じゃなくて……俺?」
ズカーンッッ(ショックな音)
噂のせいです。ショックです。勘違いされていますっっ
「もちろんですっ噂は嘘ですっっ私が好きなのはアナタですっっ」
…………。
叫んでしまいました。
恥ずかしいです。
それに加えビミョーな沈黙です。

「…ん。俺も」


……。
オレモ。

「ホント…ですか?」
「ん」
しっ幸せですっっ
幸せすぎて立っていられません。
ヘナヘナと座り込んでしまいました。







ズガシャーンッッ







なんだか今……スゴイ音がしました…………

「ずがしゃん?」


夢かと思いました。


スローモーションで崩れていく彼。
そしていつもと変わらない顔のあの人。

「不二……君…………?」

相変わらずの笑みを浮かべて不二君が立っています。
不二君は意識が朦朧としている彼を軽々と抱きかかえると

「言っただろ? には手だすなって」

と彼に言いました。
彼はビクッと身体を震わせました。

「なっなんなのでしょう?」
わけがわかりません。
「あっ」
彼に駆け寄ろうとすると
「よっよるなっっ」

拒絶。

「え?」

「さっきのナシッ!」
「……?」
「さっきの返事。無かった事にしてくれ」
別れの言葉です。
突然で、なんだかよくわかりません。

彼は不二君の腕の中から抜け出すと校舎の方へと走って行きます。
その後姿に
「これから1週間。いい夢見られると思わないことだね」
不二君は呟きました。

「あーあ。泣いちゃって」
不二君が言います。
泣く?
不二君に言われて初めて私が泣いていることに気づきました。
失恋とはわけがわからず泣くから始まるのでしょうか?
「もったいない」
ペロッ

!!

「っっっ」
不二君のしっしし舌がわわわわっ私の頬を舐め上げました。
「泣かないで」
と言って微笑み……微笑み??



違いますっっ
こっこれは違いますっっ
微笑みなどではありませんっっ
例えるならば

ニヤリ…………??

違いますっっなんだか表現方法が違いますっっ
例えるならば…………

あーうまく言葉がみつかりませんっっ

ただ一つ言えることは
『違う』です。

コワイですっ
元が綺麗な顔ですから、とんでもなくコワイ笑みです。

「やっと邪魔者が消えたね」

口調はいつもとかわらないのですが
ここっこわいですっっ

「久々に妖精を飛ばしたよ」

よっ妖精……ですか?

「アイツ何日寝こむんだろうね」

アイツとは彼ですか?
寝こむ?

「不二君が……彼に何かしたんですか?」
「あぁ、のこと気に入っちゃったから手出すなって忠告しただけだよ」

きっ脅迫ではないのですか?

「そこまで言ったのに手出したから、妖精さんにお仕置きしてもらっただけだよ」


あぁ。言葉が見つかりました。

悪魔です。

悪魔の微笑みです。

「そういうワケだから」
座り込んでいる私の腕を引いて起こすと
耳元で

「だから僕の女(モノ)になれよ」

と言いました。

「ちなみに拒否権はないから」

神様神様助けてください。
私は勘違いをしていました。
不二君という人はとんでもない人です。
人を外見で判断してはいけないんですね。

しかも何だか私、告られるといいますか
奴隷宣言ですか??
なんだか気に入られたみたいです。

これから
私の中学ライフはどうなるのでしょうか?








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不二様、最強。
コレはバンバン続きます。
頑張れ不二様! ヒロインを落とすその日まで
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