待ってくれる。
そう、言ってくれたけど
その優しさにズルズル甘えるわけにはいかない。
今度は逃げないで、避けないで、向き合ってちゃんと考えよう。
って思ってたのに……
■無意識■
ドダドタバタッという豪快な足音がして
「っタイヘンなのよぅ!」
私の部屋のドアが凄い勢いで開いた。
不二くんとメールの遣り取りをしてる時にいきなりかーちゃんが入って来たもんだから慌てて
「ななっなに??」
『切る』のボタンを連打してメールを消しました。
「お父さんの実家に行くわよ!!」
「は?」
「おばあちゃんが倒れたんですって! 荷物まとめて準備して! すぐ出発だから!」
「はぁ?!(今からとな??!!)」
「いるもの持ったら下に来なさい! マッハ5で準備よ準備!!」
…時々、娘である私も母の言動がわからない…マッハって……
でも
事は重大なので急いで荷物をまとめて部屋を出ました。
私が下におりると両親は準備万端で
すぐに、私は家から強制連行されました。
車に乗り込んで、「なんか忘れてるなぁ」とは思いましたけど
なかなか思い出せなくて考えてたら
高速の上で
「ああああっっ!!!!!」
思い出しました。
「何? どうしたの?」
「ケータイ…家に忘れた……」
「お父さん、の言うこと気にしないで! さぁもっと飛ばして!!」
あうう…(涙)
取りに戻れとか…言いたいけど……言えません。
ばあちゃんが心配ですし。
あああ…(涙)
皆さんに連絡が取れません。
失踪とか夜逃げとか言われなければいいのですけど……
車を一晩走らせてとーちゃんの実家につくと
「いらっしゃ〜い☆」
かなり元気なじーちゃんに笑顔全開で出迎えられた。
「おじいちゃん、おばあちゃんは?!」
顔面蒼白のかーちゃんがじーちゃんの襟元をつかんで問う。
かーちゃん、じーちゃんが逝っちゃう。(心配)
「ばーさん? ばーさんなら」
「あいよ。ここよー」
遠くからばーちゃんの声がする。
家に上がり込むと布団に寝ているばーちゃん。
寝てるけど、かーなーり元気そう。
「びっくりだね〜。ギックリ腰だよ」
笑顔で言う。
そけだけかよ?!(父・母・娘)
「せっかく来たんだから、ゆっくりしていきなさい」
「…そうね〜。そうしましょっか」(母)
「有給休暇2日とってきたから、2日くらいならいいか」(父)
とーちゃん。かーちゃん。
私……学校あるんですけど…………
「ちゃんに会えるのも久しぶりだしね〜ゆっくりしていきなさい」(祖父)
「大きくなったねぇ」(祖母)
私の拒否権はなしですか?
なしですか??
なしのようです。
2日、拘束です。
イタッ……(涙)
結局、学校を2日サボりました(汗)
学校にはかーちゃんが「祖母が急病で(迫真の演技)」と嘘をついて連絡したので心配はいりませんが
すっげぇ心配なのがコレ。
家に帰ってきて、真っ先に部屋に戻って。
クッションの上にちょーんと置いてある携帯電話を手に取った。
恐る恐る開くと画面は真っ暗。
どうやら2日前の連打で電源が落ちていたようで……
電源を入れるのが…コワイ……
ビクビクしながら電源を入れる。
「うぅ……」
ビクビクビクビクしながら
メールをセンターに問い合わせしてみると
「ぷっっ」
思わずふきだすくらいくらいのメールが届いていて
「ちょっ…もう…」
それが、ほとんど
不二くんからで。
一通一通開いてみると
『そうなんだ。それで、手塚が…』
といった2日前のメールの続きから
『学校来てないけど、どうかした? 体調悪い?』
になって
『電話したけど電源入ってないみたいで……どうしたの? 大丈夫?』
『、どうしたの? 心配だよ』
『コレ読んでくれてる?』
『読む元気もない?』
『お見舞いに行きたいけど。でも、体調悪いなら行かないほうがいいよね』
そんな内容になって
最後のメール
時間は1時間前
題名はなくて、本文だけ
『会いたいよ』
それを読んだら
急に
なんだか
よくわからないけど
ホント
わけわかんないんだけど
「……会いたい」
不二君に会いたくなった。
『好き』とかそんな感情抜きにして
ただ
ただ
会いたくなった。
時計を見れば6時過ぎ。
ちょうど部活の最中。
ほとんど無意識だった。
親指が動いて
『会いたいよ』
そんな文を打つ。
ドコをどう押したら『不二周助』へ届くのか。
指が覚えてた。
―送信―
そう画面に出たから、慌てて
『題名:1コ前のメールは読まないで!
本文:明日は学校行けるから、その時休んでた理由話すね』
と送った。
無意識ってコワイ……(滝汗)
7時過ぎて
そろそろ部活が終わった頃かなと思っていると
ケータイが鳴った。
メールの返信かなと思ったけど
すぐに着メロが違うことに気付いて
「もしもし?!」
急いで電話を取ると
『…?』
相手は不二君で
『窓の下見て』
と言うから
まさかと思ったけど窓を開けたら不二君が立っていて
「どうし…て? 家、しらないはず」
『あんなメールきたから急いで調べたよ』
ってニッコリ笑ってくれたから
急いで部屋から出て、それこそ2日前のかーちゃんの言ったマッハ5で下におりて、玄関の鍵を開けようとするけど焦るとなかなか開かなくて
『?』
壁を挟んで5mの距離で
電話で
「不二君」
って言ったら
いつものように
『』
って言ってくれて
やっとの思いで鍵をあけて外に出て
本人を目の前にしたら
なんかとっても嬉しくて
目の前にいるのに携帯持ったままで
なんかポロッと
「…どうしよう」
『?』
「嬉しい」
とか言ってしまった。
目の前にいるのに電話越しで話してしる。
でも
なぜだか不二くんは切らなくて。
私も切らなくて。
というか、私はケータイを持っていること
半分忘れてたんだと思う。
だから
こんなことを言っちゃったんだと思う。
切っていれば
こんな小声は
こんな独り言は
聞こえなかっただろうに
「あいた…かったの
うん。会いたかった。
あ……なんか
す
き
かも」
ゴッ
何かが落ちた音にビクッとして
ハッと正気(感動モード解除)に戻ったら
不二くんの目が見開いてて
足元にはケータイが落ちてて
不二くんは固まったまま動かないで
「?」
とりあえず近寄ってケータイを拾ってあげて
「不二くん?」
顔を覗き込むと
ポッって音が聞こえてきそうなくらい不二くんの顔が真っ赤になってて。
「不二くん????」
熱でもあるのかしら? と額に手をのばしたら
「…いま…」
「どうかしました?」
「す………………き………………って……言った?」
「はぁ?」
何を言ってるんだろう? この人は
って思ったけどすぐに
ああああっっ!!!!
無意識にポロッと言ったような言ってないような……
記憶にあるような…ないような…ある……あります……(滝汗)
言った? 私、言った????
頭のなかはパニック。
すき? 私、不二くん好きって言った?????
マ ジ で !?
「ごごごっごめっごめんなさいっっ今のっ今のナシッナシッッ!! ナシです!!」
訂正をかまして、
「そそそそそっそれでは、わわっわたくしは…しし失礼します」
明らかに挙動不審な態度で
バイバイと手をふるだけふって
家に入った。
するとかーちゃんに出くわして
「、顔真っ赤よ?」
と言われました。
……混乱中。
こりゃ、どーしたものですか????
***反省。***
今回のタイトルは『無意識』です。
さん前回意識し過ぎてましたから、今回は逆で☆
なにげに不二様黒いです。
読むなと言われたメールをバッチリ読んでます(笑)
ついでに乾先輩あたりを脅して家調べてます!!
そういえばこの頃『妖精』が出ていません。
『妖精』使えばイッパツでさんの休んでる理由とかわかっただろうに…
言ってしまいましたね。
「すき」と。
訂正してましたけど、こりゃそろそろですよv(ニヤリ)