誕生日でもないのに

記念日(つくったわけではないけど)でもないのに

不二くんが

「ねっv」

ねっ…て…………

ものすごい笑顔で

モノをくれました。



■幸せ■



「なんですか?」

何かを貰うようなとはしてません。
祝うようなことはないですし…

はて??

「あげる」

「あげる言われましても」

うわぁvありがとうvvと簡単に貰うわけにはいきません。

だって

何か企んでたら大変じゃないですか!?

「僕の気持ち」

「気持ちと言われましても…」

手の上にポンッと置かれた箱を凝視します。

5cm×5cm×5cmくらいの立方体。

つい先程笑顔でコレを渡されました。

「気に入ってくれると嬉しいんだけど」

「…ですから」

コレは…何……??

相手は不二くんです。

何が入っているかわかりませんっ

「貰えません」

キッパリ、ハッキリ断ります。

「どうして?」
「理由がないから」

何も理由がないのに物なんて貰えません。

「じゃあ誕生日プレゼントってことで」
「まだ先です」
「じゃあ、今日という日の記念に」
「何の記念ですか?」
「じゃあ…数学の小テスト祝50点以上ってことで」
(なんで点数知ってるのですかっっ)いりません」
「じゃあ……」
「もーっ! そんな理由じゃ貰えませんっ」

別に何かを『貰う』という行為が嫌いというわけではありません。
むしろ、嬉しいですよ。
でも
ただ、貰うわけにはいかないじゃないですか。

悪い…ですし。

は嫌い?」
「何がです?」
「貰うの」
「そういうわけじゃ…」
「じゃあ」
「でーすーかーらー」

さっきから一向に話が進みません。

「理由もないのに貰えません。そんなの貢いもらってるみたいじゃないですか」
にだったら貢ぐよ」(キッパリ)
「そんな男…ヤダ
「じゃあ貢がない」
「ではコレは」

手の中にある箱を返そうとすると

「コレだけは、受け取って」

と言ってくる。

「いーりーまーせーんー」
「あーげーるー」


もう、どうしたのですか? この人はっ!

「今日の不二くん、おかしい」

ボソッと呟いてみる。


昨日までは普通だったのに。

今日の不二くんはおかしい。

「どうしました?」
「……別に」

……やっぱり、おかしい。

なんか…拗ねてる?

「どうしました? 本当に」
「なんでもないよ」

やっぱり…拗ねてる。
ちょっとだけ拗ねてるようです。

ぷくっと頬を膨らませています。


どうしよう…ちょっと…可愛い……


「本当に、なんでもない?」
「……うん」


やっべえ…可愛いしっっ


「ウソついちゃヤだよ?」
「……あの…さ」

喋る気になったようです。

「はい?」
「昨日」
「はい」

「告られた?」

……………………。

………………………………………
ドコから漏れた?!

じじじっ実は昨日の放課後、帰り道に…その…知らない人(他校生)に…その……ね……
告白のような……ねっ!(恥)

されました。はい、されました。

でも申し訳ないのですけどその場でお断りしましたよ?

ええ、しましたさ!!


「…………」
「告られたんだよね?」
「はひ」


余計なことで煩わせたくないから黙ってたのにっ
ドコから漏れた?!
か?!
だなっ!
昨日一緒に帰ってたから、その現場バッチリ目撃されたし。
口止めしたのにっ!!


さんから昨日聞いてビックリしちゃった」


さっそく昨日言ってるの?! のアホッ


「でも、断りましたよ?」
「うん、知ってる」


よかった…変な誤解はしてないみたい。(ホッ)


「でね、コレはね」

トントンと私の手の中の箱を指で叩きながら

「僕のワガママなんだ」

と苦笑しています。

「ワガママ?」

「そう、ワガママ」

箱を叩いていた指でふたを開けます。
なかには一回り小さい箱。

「ねっ? 開けてみて」

「でも…」

「いいから」

どうしよう。と思ったものの不二くんに促されて渋々箱を開けました。
















「…不二くん?」





「僕のワガママ…貰ってくれる?」






















ビックリしました。

心臓止まるかと思うくらいビックリしました。

「不二くん…コレ」

に受け取ってほしいんだ」




箱の中には銀の指輪。




中央に石の入った、銀の指輪。





「そんなに高い物じゃないけど」

「あの…」

「コレはめてくれれば彼氏いるって表示になると…思って」

「えと…」

「嫌なんだよ。が誰かに告られるなんて」

「……」

?」

「不二くん…」

「ん?」

「その…嬉しいのですけど」

「(けど?!)いいから、貰って」

「あの」

「ね? 貰って」

「…はい」





不二くん…わかってますか?

女の子にとって『指輪』って特別なのですよ?





「サイズ…合うといいんだけど……あっもちろんココね」

ココと左手、薬指を指差してます。

……意味、わかってますか?

いいのですか?

この指にはめて、いいのですか?



キラキラ光る指輪を見つめたまま嬉しさと戸惑いで動けないでいると不二くんが




「ついでにもうひとつ…ワガママいいかな?」

「はい?」

「ソレ…貸して。僕がの指につけたい」

「え?!」

「ダメかな?」

「ダメ…じゃないですけどっっ」

け ど !

それは…そのっ…とてつもなく恥ずかしいのですけどっっっっっ



顔を真っ赤にしていると不二くんがクスクス笑いながら指輪を右手で持って


、手貸して?」


左手で私の手を取って…





そっと指輪が、左手の薬指に収まりました。





「よかった。ピッタリ」
「……」
?」
「は…」
「は?」
「恥ずかしいっっ」
「そう?」(クスクス)


ちょっとまだなんかよく状況が理解できません。

私、指輪もらいました?

左手を見ると

います。

指輪がいますっ!

うわっうわぁっうわわわぁ(照)


「さずかに校内で指輪はマズイだろうから、放課後と僕の前だけでしててね」

「はひ」(顔真っ赤)













、中3。初夏。
初めて男の人に指輪を貰ってしまいました。




















「あっ、婚約指輪はもう少ししたらちゃんとしたのあげるからね」















最後の最後に不二くんはとんでもない事を言いました。

婚約って!




ああもう…なんでしょう?

コレはなに??

ちょっと幸せ過ぎて怖いのですけど…














「不二くんっ」
「なぁに?」
「…ありがとうございます」
「こちらこそ、受け取ってくれてありがとう」
「不二くん…」
「ん?」


「大好き」


「僕も、が大好きだよ」




















この幸せが…ずっと…続きますように。

そう――心から思いました。
















***反省***
久しぶりの不二様です。
目指せ甘々!なのですけど…ね…
なんだか不二様が書きたくなってパチパチーッと殴り書き(……)したので文がいつにも増してショボイ……
イタタッ(>_<;)