「質屋に行こう!!」

「えっ?!」




■日常になりつつある日■




ある日の放課後、がいきなり言いました。

質屋へ行こう。と

「ななっ何言ってるの?!」
「売ろう! 今すぐ!! 大丈夫
「何が大丈夫なの? というか何を売るの?!」

ガシッと私の左手を掴んだは今までに見せたことのないような笑顔で

「コレvv」

コレ…

の光り輝く瞳の先には

そうです。あれです。

先日不二くんにいただいた 指輪 があります。

「ダメッ!! コレはダメッッ!!!」

「いいじゃん。
「ごめんね周助、の不注意で指輪なくしちゃった☆」とか言っとけば不二は騙されるって!!」
「周助なんて呼ばないし!! 嘘つかないしっ!!!!」
「ケチくさー」
「そういう問題じゃないしっっ」


今日は不二くんの部活が終わるのを待って一緒に帰る予定でしたのでコレをつけて部活が終わるのを待っていたのですが

がやってくるとはっ

しくじりです。油断しましたっ!






「あのさぁ、コレって…」

指輪をジーッと見つめてが唸ってます。

「ななっなに?」(ビクビク)
婚約でもしたの?」
「なっ」
「はやいねー。おめでとう」
「違いますっ!」
「あらやだ違うの? つまんない」
「(つまんないって!)もらったのです。それだけ」
「ふーん」

あーなんかがニヤニヤしてますっ
だーかーらーには見つかりたくなかったのに

「まぁ、どーでもいいけど。でもさ、行こうよっ! 質屋☆」
「だからどうして?」
「だってソレ」
「それ?」
「真ん中の石」
「はい」


「ダイヤでしょ?」


「はい?」
「だから。ソレ。ダイヤの指輪でしょ?」
「はい?」
「売ったら1日遊べるくらいのお金にはなるってv」
「はい?」
「不二にはさ
の不注意で指輪なくしちゃったの。ごめんね周助」(さっきとセリフ違う)とかなんとか言っとけば大丈夫だから」
「……え?」
? どうしたの? 変だよ(いつにも増して)」



ダ イ ヤ ?



今、はダイヤとか言いやがりました?



一般の学業・部活中心でバイトも何もしていない中学生がダイヤの指輪?



不二くん?








盗んだ?









ちゃん…」
「なぁに?」
「テニスコートに行ってきます」
「いってらっしゃい」(微笑み)


まだ部活中ですけど、こういうことはハッキリさせたいです。



















ガシャンッ

テニスコートのフェンスを掴んで

「不二くん、ちょっと…」

部活中ですが不二くんを呼び出します。

「手塚くん、不二くんをお借りしてもよろしいですか?(拒否権は無しの方向で)」
「珍しいね、がそんなことを言うなんて」

すぐさま不二くんがこちらへ駆けてきますが

「しかし」

手塚くんが止めに入ります。部長です。当然です。
でも

「手塚?(せっかくわざわざがココまで来てくれたのに、しかも僕を必要としてくれてるのに、まさか止めようなんて無粋な真似はしないよね? わかってるよね?)

「…できるだけ早く戻って来るんだぞ」

すみません。今日は不二くんに脅されていてください。

「不二くん…こっち」
「なに??」

とりあえず不二くんを人気の無いところまで連れてくると

「あの…」
「つけてくれてたんだ」

私より先に不二くんが口を開きました。

「は? え? あ…」

不二くんの目線の先には左手。

「嬉しいな」

と、にっこり微笑んでいますが

「…この指輪のことで…お話が…あります」

ハッキリ、きっちりさせなくてはです。

「え? もしかしてサイズ合わなかった?」
「いえ」
「デザイン気に入らなかった?」
「…いえ」
「じゃあ、何?」
「コレって…この石って」
「石が気に入らなかった?」
「いえ、その…ダイヤモンドですか?」
「? うん、小さいけど」

うっわー(マ ジ で す か)

「ふふふ不二くん…まままさか……ぬぬぬぬす盗んだりとかしてませんよね?」
「何を?」
「ここここの、ゆ…指…指輪」
「買ったよ?」(アッサリ)
「どどどどうして一般の中学生がこんなもの買えるのですか? 窃盗はダメですよっ
「(信用無いなぁ)本当に買ったって。僕にだって少しの貯金くらいあるよ」
「まさかバブルの時に稼いだのですか?!」
「(僕を何歳だと思ってるの?)まさか」
「株ですか?」
「(だから…)? 変なトコを心配しないでいいから」
「ですが…」
「こんなこと言いたくないんだけど…(かっこ悪いから)」
「不二くん?」
「この指輪、が思ってるほど高価な物じゃないから。だから心配しないで、ね?」
「ほんとに?」
「本当に」

高価なものじゃない。と不二くんは言いましたが…私から見たら絶対高価な物です。コレ


「盗んでない?」
「そんな物の指にははめさせないよ」
「あのね、不二くん」
「?」
「私、もらってばっかだね」
「そう?」
「うん」

こんな風に一緒の時間を過ごせるだけで嬉しいのに
こんなに高価な物までもらってしまった。

なのに

私は何もあげてない。

「だからね、私ね」
「うん」
「不二くんに何かあげれるものある?」
「…え?」

すみません、貧乏人ですから同じような指輪を送るなどということはできません。
でも、何か、不二くんの望むもの。

あげたいんです。

「何か、あります?」
「もう、もらってるよ」(くすくす)
「不二くん?」
「僕はの心、全部もらってる。それだけで充分」
「あっ…えっ…でも」
「もちろん僕の心も全部のもの。この指輪は前にも言ったよね、僕のワガママだって」
「あ…はい」
「そうだな。がどうしても何かあげたいんだったら」
「はいっ!」
「5秒、目を閉じて」
「はい?」
「目を閉じて、ゆっくり5秒数えてね」
「は…はい」

にっこり微笑む不二くんを目の前にして瞳を閉じました。


5秒? なぜ5秒?


あーなんか目を閉じてるだけってドキドキするなぁ、もう。


不二くんってば何をしてるのですか?


などと考えていると





唇にかすかな感触。







「え?」

びっくりして目を開けると数cm先に不二くんの顔。

「まだ4秒だよ?」

「なっ! いっいま」

「もうすぐ部活終わるからね」

「あのっ今っ」

「じゃあ戻ろうか」

「不二くん」

「おいで、

2歩ほど進んで、立ち止まって私に向かって手を差し伸べ不二くんに

「今ので…いいの?」

「今のが、いいの」







駆け寄って、手を繋いで

「今のじゃ、お礼にもならないよ」
「充分だよ」(ニッコリ)
「だって」
「だって?」
「今の…は…」
「今のは?」
「不二くんには許されてることだから」
「そうなの?」
「は…い」
「じゃあ、今ココでまた同じコトしていい?」
「うぇ? え? は……はい」

繋いだ手を引っ張られ、少し強引に体ごと不二くんに抱き寄せられる。

「いいの?」
「不二くん…なら」



ゆっくり唇を寄せて

今度はさっきより深く

長く



「申し訳ないんだか場所を変えてくれるか?」



ゴンッ!!

突然の声に思い切り頭突きをかまして

「いいいいいいい乾っくん?!」

「ああ、別に気にしないでくれ。ばっちり見たから。そんなことより不二が」

「え?」

目の前にいた不二くんの顔がなくなって乾くんの姿が見えます。
不二くんは……

「ふふふっ不二くん?!」

足元にうずくまっていました(滝汗)

の頭突きが綺麗に顔に入っていたな」

などと冷静に乾くんが言っています。

「そんな場合ですか??」
「折れてはないだろう」
「不二くーんっっ! しっかりしてくださいーっっ」


















「だ…だいじょうぶ…だから」


あううっ(泣)不二くんの声が痛々しいです。


「すみませんー」

「いいから、大丈夫だから」


この後、不二くんの顔を冷やしていたら部活は終わってしまいました。(すみません)










「ほーら帰るよ」
「ずびばぜん」(ぐしぐし/涙)
「はい手だして、帰るよ?」
「はひ…」

右手を取られて、引っ張られるように学校を後にします。

「大丈夫だから、ね?(付き合う前は蹴ったり殴ったりしてたくせに)」
「はいーっ」(ぐしぐし)

「いつまでも泣いてるとココ(公道)でキスするよ?」
「……」(泣き止み)
「……(そんなに嫌?)」





今日は散々です。
不二くんを窃盗犯扱いした挙句に顔面頭突き

こんな彼女っていませんよね。





「今もしかして自己嫌悪してる?」
「え?」

どうやら不二くんは何でもお見通しです。

「どんなことしても、僕はが好きだからね」
「……」

なんでも、受け止めてくれる。
こんなダメな彼女なのに。
それでも、いいの?

「……あのね」

これはちよっとした決意。

彼女だと堂々と胸を張って言えるくらいになれるように。

それに

少しでも恋人としての距離を縮めたいから

「今日から…その……そのね」

「どうしたの?」

「し……えっと…その……しし…」

?」

「周助……って……呼んでもいい…ですか?」

「……」

「あっあは…は……ダメですか?」

「ううんっ。嬉しい。けど」

「けど?」

「言えるの?(恥ずかしがりやのに)」

「えっ? えーっと……しっ…しゅ……しゅうすけ……くん」(顔真っ赤)

「無理しないでいいよ」(にっこり)

「むっむりなんてしてませんっ!」

「自然と呼べるようになるまで、苗字でいいよ。の声だったら何て呼ばれても嬉しいんだから」

「なんて呼ばれても?」

「うん」

「ベンジャミンって呼んでも?」

「(どこからそんな発想が…)なら、ね」

「じゃあ今日からベンジャ…」

「『不二くん』の方がいいな」

「…はい」




いつか自然に不二くんのことを名前で呼べる日がくるといいなぁ。と思いました。

でも、個人的には『周助』より『周助さん』と呼びたいのですが…

いつか不二くんに訊いてみましょう。どちらがいいか。



それは、いつになるかわからないけど、そう遠くないことだと思います。


たぶん、きっと……(滝汗)












***反省***
まだまだ続くよ不二様甘々モード。
日常のような…違うような…うーん?

アコ的萌えポイント→名前に『さん』付け。
呼び捨てより、『さん』とか『ちゃん』付けの方が好きなのですよ。(笑)

↑で不二様ダイヤとか言ってますね、ダイヤってもアレね。安いのね。
3万(私的には高いと思う。
…貧乏っ!)くらいの指輪。
どうでもいい話なのですが、この話書く直前…アコさん…指輪……なくしました…(泣)