一瞬、意味がわかりませんでした。



■トモダチ■





「いい? 絶対、笹馳には近付いちゃダメだよ?」

肩をガッシリとつかんで、目を見開いて、大声で不二くんが言っています。

「はい?」

「だーかーらー」

この人はどうしちゃったのでしょうか?
さっきからずーっとこうです。

『笹馳に近付くな』の一点張りです。

「不二くん?」
「わかってくれた?」
「どうしたの?」
「(わかってなーいっっ)」

どうしたいのでしょうか? この人は??

どうして笹馳さんに近付いちゃダメなのですか??

せっかく仲良くなれそうなのに。

? よく、聞いてね? あのね」
「はい?」

珍しく(失礼)不二くんが真剣な顔をしてます。
どうしたのでしょう?

「笹馳はね…」
「はい?」

「僕の……元…………彼女…………ってやつなんだ」





「はい………………………………はい?!





今、何て言いました??
その口はなんて言いました????

あの美人さんが
あの完璧さんがっっ
不二くんの元カノ?????


ちょっ…ちょっっ…………







「どっ……どうして……別れたのですか?!」



「(
第一声がソレ?!…」


「あっんな美人で可愛くていい人と何故っ??」

「(他に言うべきことあるだろう…)……何故って…それは……」

もったいないですっ! 私だったら別れませんっ」

「(別れるもなにも…は女の子だからアイツと付き合うことできないだろう)」



不二くんってば贅沢者ですっ!
あんな美人さんと別れただなんて(プンプン)

2人が並んだところを想像するだけで…もうっ…もうっっ
キラキラ〜ですっ!
なんだかもうアレです。
モデルさんのようですっっ


「そんなことより! 笹馳には近付いちゃダメだよ?」
「どうしてですか?」
「アイツは…危ないから」
「はい?」
「とにかく危ないヤツなんだよ」
「不二くん、大丈夫ですか? 熱あります??
「(この前は英二相手にすごい妬いたくせに、どうして今回は何もないんだ?!)」


本当に不二くんはどうしちゃったのでしょう??
なんか変です。

笹馳さんが危ないって…どういうことですか?

もしかしてっ!

あまりにも美人さんだから近くにいると自分の顔が嫌になっちゃうとか、そういうことですか??

ん?

それだと、笹馳さんが危ないってことにはなりませんね。

んん??


「僕は…が心配なんだよ」
「??」
「…何かされたら嫌なんだ。アイツがに近付くと怖くて仕方ない」


もっもしかして…笹馳さんは裏番??!!
だから、怖いのですか?!
あっダメ。自分で想像して、ありえなくて笑えてきた。


「私、笹馳さんのこと好きですよ? 仲良くなれそうですし」
「騙されてるんだよ」
「誰が?」
が」
「誰に?」
「笹馳に」
「…不二くん」
?(わかってくれた?)」
「いいかげんにしてくださいっ」


さっきから、この人はっ(怒)
せっかく仲良くなれそうなのに『近付くな!』だなんて。
横暴ですっ


「危ないだとか、意味が分かりませんっ」
「だから」
「もういいですっ」

「人のこと悪く言う人は嫌いです」


いつもの不二くんなら絶対そんなことしないのに。

誰かを悪く言ったりしないのに。

変…です……

どうしたのですか??







「あら、どうしたの?」


「あっ! 笹馳さんv」
「…」


クスクスと笑いながら笹馳さんがやって来ました。


「どうしたのですか?」
「ちょっと通りかかったらさんが見えたから、あと……」


笑っていた顔がスッと真顔になって


「周助がいたから」



シュウスケ



……あ……そっか……今聞いたばかりなのに……
そっかそっか、この人は、不二くんの元カノさんだから『名前』呼び捨てにだってできるよね。



「あっそうだ、さん。悪いんだけど教科書貸してくれるかしら?」
「はいっ。いいですよ」
「次、数学なんだけど……」
「私のトコは英語ですから、構いませんです」

「隣の席の人に見せてもらえばいいだろう」

私が教科書を取りに室内に戻ろうとすると、不二くんの冷たい声。

「前の学校と教科書が違うのよ。それに、転入してきたばかりだからって隣席にばかり迷惑をかけられないわ。それともう一つ、教科書を借りるという名目で友人を得られるかもしれないもの」
「あはははー。はいーお友達ですーvv」

笹馳さんは「ありがとう」と微笑んでいます。
はぁvvやっぱりこの人、好きvvvv

「それでは、教科書を取ってきますのでちょっと待っててくださいね」
「ええ」

クルッと回って教室に入ると後ろから



「周助…」



と声がしました。
でも聞こえたのはそれだけ。



名前だけ。



会話、ではなかったのでしょうか?


少し気になりましたが、そのことは放置して教室の奥へと進みました。


















「はいですっ数学の教科書です」
「ありがとう。次の時間終わったらすぐに返しにくるから」
「いつでもいいですよv今日もう数学ないですし」
「そう? でも…やっぱりすぐ返しに来るわ。さんとお話もしたいし」
「それは大歓迎ですっ☆」
「じゃあ、私はもう行くわね」

ヒラヒラと手を振って笹馳さんは戻られました。


「不二くん?」

どうしたのでしょう?
さっきより不二くんの顔が険しいです。

「お願いだから、笹馳には近付かないで」
「はい?」
「アイツは変わってない。前よりもっと……」
「不二くん?」
「頼むから」


本当に、どうしたのでしょうか??

ここまで、言うなんて……









「危ないとか……それって……どういう意味なんですか?」


ソレが納得できる理由だったら、私は不二くんの言う通り、笹馳さんとの間に距離をおくかもしれません。
でも、納得できないのに『近付くな』と言われても従いたくありません。


「笹馳は…とにかく『危ない』んだ。上手く言葉に表すことができないけど」
「そんなこと言われても」
「アイツはに何をするかわからない」


不二くんは真剣に言っていますが、その……私からしてみれば全く真実味が無いのですけど……

だってだって、あんなにいい人が『危ない人』なワケないじゃないですか!

むしろ『危ない人』って言ったら不二くん(ブラック)とかの方ですよ。


でもココで「嫌」とか「笹馳さんのこと好きだもん」とか言ったら話は進みませんし…
ですからおとなしく

「はいー。わかりました。笹馳さんとは隣のクラスの人止まりの関係でいますっ」(敬礼)

「(……敬礼?)わかってくれた?」

「はいー。わかりました。だから心配しないでくださーい」

「よかった。がわかってくれて」

「(本当は全然わかってませーんだっ)(反抗的)不二くんっ、もう授業始まります。それではこの辺でvv」

「うん、わかった。何かあったらすぐメールしてね」

「(何かって…何??)はーい」


不二くんと別れた直後、始業の鐘が鳴りました。




























さん」

英語の授業が終わって、ボーッとしてると廊下から私を呼ぶ声。

「あっ! 笹馳さんvv」

パタパタと駆け寄ります。

「教科書、ありがとう」
「いーえー。お役にたてたのならよかったですvv」
「…さっきはゴメンね」
「はい?」
「周助と話してたの邪魔しちゃって」
「あーいえいえ。いいんですよ」
「怒ってたらどうしようかと思ってたの。よかった」
「そんなことで怒ったりしませんよ」
「本当によかった。さんに嫌われたくなかったから」
「むしろ私笹馳さんのこと好きですっvv」
「本当?」(微笑)
「はいv」
「嬉しい」



不二くん、ごめんなさい。

私普通に笹馳さんのこと好きです。

友達になりたいです。



「笹馳さんっ」
「どうしたの?」
「仲良くしてくださいvv」
「ええ、もちろん」












ただただ嬉しそうに笑うとは対照的に、笹馳錦の笑みは冷たいものだった。


それに気付いた者はこの場には――いない。
























***反省***
コレは夢小説なのでしょうか??(疑問)
不二様出番少ないし。ダメじゃんね。

さん錦さんに惚れてますね。(笑)
これからこの2人はどうなるのやら(笑/笑い事ではない気がします)

まだまだ続くよ元カノ編。
よければお付き合いしてやってくださーい。