人間なら誰にだって一つや二つ苦手なことがある。
それが私にとっては
『数学』
人間だもん。
苦手なことくらいあります。
どうやら悪魔様にはないようですけど……


■秘密ノート■


「はちじゅうきゅうてん」
これが今回のテストのある1教科を除いた平均点。
「さっ……さんじうさんてん」

これがある1教科……『数学』の点数。

「ななじう……ななてん」
これが平均点。

うぅっっ
こっこれはマズイです。
他の教科に比べて数学が悪すぎます。
しかも……33点…………
こっこれは補習対象となってしまうのではないですか?

「全教科に該当するのだか、40点以下の点を取った場合放課後補習が実施される」

ガガーンッッ
やはりです。先生も言っています。
補習デス。
当たり前といったら当たり前です。
私達は中3デス。世間一般で言われる受験生です。
青学には高等部がありますが、外部受験をする方だっています。
ボンヤリとはしていられませんよね(涙)

「尚、補習最終日のテストで60点以上取れなかった者は以後1ヶ月補習を受けてもらう(笑)」
せっ先生……それは、あんまりです。(しかもそんな笑顔で……)
はぐっっ(恐怖)
補習は放課後といいましたか?

放課後=部活

せっ先生。私、呪われてしまいます。
放課後は悪魔様のお言い付けでテニス部に行かねばならないのデス。

「ついでに苦情は一切受け付けない」
ガーンッッ
呪……決定デスカ?


vv」
ビクッッ
廊下から声がします。
ふふっ不二君デス。
もう休み時間になっていたんですね(汗)
にっ逃げておけばよかったです(後悔)

「ふふふふっ不二君……実は私」
「まさか成績優秀のさんが補習なんて言わないよね?(ニッコリ)」
よっ読まれています。
しかも苗字で呼ばれているトコロに威圧感を感じます。
「そっそのまさかでございます」
「……………………」
無言デス。
こっこわいですっっ
「馬鹿だなぁ。は」
おやおや? てっきりネチネチと嫌味を言われるかと思いきや優しい(?)デス。
「馬鹿だけど、わかってるよね?」
ハイ?
「補習と僕。どっち取る」

補習です。(キッパリ)

などとは、言いたくても言えません。
そんなことを言ったらこの方は何をするかわかりませんっっ

「うぅ(泣)…………テニスです」
「よろしい」
補習を受けなかったら先生に何と言われるでしょう?
問題児扱いですか?
困ります(シクシク)

「じゃあ、先生には僕から言っといてあげるよ」
は?
「補習はテニス部代理マネを頼んだので受けれないって」
は??
「大会近いのにマネージャーが辞めちゃってね(ってか辞めさせた)人手が足りないんだよ」
はぁ……
「テニス部っていったら青学の顔だからね。補習くらい軽い軽い」
まぁvv
「最終日のテストは受けるって条件で補習は免除になると思うよ」
チッ
「補習の代わりに僕がみっちり数学教えてあげるからねvv」
…………(号泣)

こうして私は図書委員からテニス部代理マネージャーになりましたとさ。




問題: マネージャーとはどんな仕事をする存在ですか?

答: 簡単に言えば部員全員のお世話です。

正解です。

ではナゼ私は、こんなコトをしているのですか??


なななっなんでしょう(汗)
こここっこれはマネージャーの仕事ではない気がします。
だって絶対この格好ヘンですっっ

端から見れば『男テニに女テニ部員が混ざってる』デス。
つまり……私は…………

女テニの服(うう…言い方がわかりません)なるものを着ているのです。
スコートです(泣)ようするにミニスカです(号泣)

「似合ってるよ。vv」
「不二君? こっこれは……」

この服装を指定したのは言うまでもアリマセン。
不二君デス。

「だって女の子がジャージでいても普通すぎるでしょ」
「あっあの」
の足、綺麗だね」

不二君の細い指がすっと太ももを撫で上げます。
「きゃぅっっ」
ここここっこここここれれれれれはははっっっっっ
セセッセクハラです!!

抗議の目で睨み付けると
「ちなみには僕専用だから他の人相手にしちゃダメだよ」

それは……マネージャーではなく……専属奴隷(メイド)宣言ですか??

「乾、いい練習思いついたんだけどvv」
不二君がニッコリ微笑んだまま乾君に歩み寄ります。
なんだか、ものっっすごく嫌な予感がします。
「何だ? 不二」
「あのさ……」
ヒソヒソ話です。あっあやしいデス。
「それは……しかし」
乾君の眼鏡が明らかに困っています。
不二君は何を企んでいるのでしょう?
「これなら絶対皆真剣になるし、何より練習中にいい音楽が聴けるよvv」

乾君は困ったように手塚君に話しかけます。
あっ
今、鉄仮面(失礼)手塚君の顔が歪みました。
うあ゛
みみっ見られてます。
乾君と手塚君に見られてます。すごく目付きが私のことを哀れんでます。
こここっこれは100%危険です。

ににっ逃げようにも隣には不二君がいます。

逃げられません…………

神様神様、竜崎せんせえ……たったしゅけて(泣)


「はい。
目の前に差し出されたのは4冊のノートです。
「?」
「手塚、大石、乾。それと僕の数学のノートだよ」
こっこれはままっまさか貸してくださるとかですか?
「貸してあげるから、ちゃんと勉強するんだよ」
「はっはい」
ややっ優しいデス。不二君が優しいデス(不審)
「じゃあ今日は大石から」
は?
スッとノートが抜き取られます。
残ったのは大石君のノートです。
「ソレ、部活中に目通しといてねvv」
…………?
「部活終わったら返すから」
……………………コッコピーとか…………
「まさかはコピーとか卑劣なことしないよねvv」
ひっひれつ……?(汗)
「勉強がてらマネの仕事が出来るように取って置きの仕事用意したからvv」
は……はぁ…………。










「っきゃあっっ」

どうしてどうして逃げなかったのでしょう?
あうあっっ(怯っっ)

。問3は?」
「うー…えっくすいこー……きゃーっっっ

これはイジメです。
端から見ればイジメですっっ


「なぁ手塚……止めなくていいのか」
青学テニス部の母こと大石君は思わず目を背けます。
「……止めれば必ず奴等が動くぞ…………この時期に怪我人は出したくないからな(スマン。)」
「(ごめんねさん……俺達、には逆らえないんだ)……はは」
もはや見守ることも出来ず笑うしかない2人であった。


私、は今テニスコート上にいます。
詳しく述べると菊丸君の真後ろにいます。
ついでに言うと菊丸君はプレイ中です。
つまり、ボールがビュンビュンで時折
「きゃぁっっ」
私の目の前をボールが飛んでいきます。
菊丸君のお相手は不二君です……
「英二、もっとしっかり動かなきゃ(に怪我させたら……わかってるよね)」
「にゃにおーっっ不二がきわどいコース打ってくるんじゃんっっ(この魔王)」

不二君曰く
「誰かが後にいたら、必死になるよね」
だそうです……
「そして、ピンチな時程人間の能力は発揮されるよね。だからノート一冊くらい余裕だよね」
だそうです……

ムリです。こんな状況で
「きゃぁぁっっ」
X軸だのY軸だのはムリですっっ
「っきゃあっ」

この日、一日叫び声はやみませんデシタ。

、怪我はない?」
幸い、皆さんが必死(スミマセン)になってくださったおかげで傷一つありません。
「ないみたいだね、よかった」
不二君はニッコリ微笑んでいます。
コワッッ!
「じゃあ」
スッと私の手の中からノートを奪います。
「あぁっ」
まだちゃんと見てません。
大石君のノートっっ
「今日はもうダメ。僕付きでよければ僕のノートは貸せるけど、どうする?」

…………うふっ☆

とりあえず、笑ってごまかしました。


こんな日々が3日ほど続きました。(さすがにコスプレは初日だけでしたけど)


「うわぁ……」
屍累々とはこのことでしょうか。
毎日のを背後にドッキン☆練習(不二命名)』のせいで皆さんグッタリしています。
そりゃそうですよね。後に誰かいて、尚且つ不二君は本気モードで……
疲労困憊ですよね。
身近でグッタリしている大石君と目が合いました。
おおっ!!
大石君が笑んでいます。こんな私に微笑みかけてくださいます。
なんて、いい方なのでしょう(感動)
「あのっ」
大石君の隣に座り込みます。
「ごめんなさい……」
「?」
「不二君が変なコト言い出したから……」
「あっそれなら、こちらこそゴメン」
? なっなんでしょう?
「俺達が不二のコト止められなかったから、さんが怖い目にあってる…」
「いっいえ……もう…………慣れましたから…………」
「(さん不憫……)(ハッ! 殺気!! 不二がコッチを見ている!!)あーあーっっ
さんっふっ不二にもイイトコあるから」
なっなんでしょう? 突然。
「不二が素(本性)を見せるのは自分が気に入ってる人にだけだから」
「はぁ」
さんが不二に好かれてることは冗談や嫌がらせじゃないから」
「はぁ」
何やら大石君が焦っています。なんだか可愛いデス。

「…く……ぐはぁっっ」

ドサ……

「ちょっ大石君っっ?」
タイヘンですっ!
大石君が白目をむいてブッ倒れましたっっ
「ダメだよ。大石」
「ふっふふっふぢくん??」
これはっまままさか…………

呪?

「妖精がっっ…ふっ」
「きゃーっっ大石君―っっしっかりしてくださいーっ」

大石秀一郎……撃沈。
隣で手塚君が「今日は練習にならないな」と呟いていました。








「さぁ今日はお待ちかね僕のノートの日だよ」
不二君はニッコリ微笑みます。
微笑むというか

ほくそえんでます。

「じゃあ、行こうか」
「?」
不二君は私の手を掴むと部室の方へと誘いました。

部室には疲れ果てたレギュラーの方々が思い思いに休んでいます。

「ハイ、座って」
ぽふっと座らせられます。
「ハイ、広げて」
机の上に勉強道具が並べられます。
「じゃあ始めようか」

…………?

「こっこれは?」
「勉強しないとマズイでしょ? 明日補習テストだしね」
「はぁ」
「僕が教えてあげるよ」


………………………イッヤ――――――!!!!!!!!
こここっこわっっっ
「ああのっ遠慮させていただ」
「テストで合格点とれないと、夏休みつぶれるって知ってた?」
「えっ?! 以後1ヶ月の補習じゃないんですか?」
「+夏休み補習」

イタイ。頭がイタイです。

の夏休みを学校なんかにとられたくないからね、優しく教えてあげるよvv」

私……学校辞めたいデス。




「……で、こうなるわけ」
「はぁー。ココでこの公式を使えばいいんですね」
「そう、それであとは……」

神様、不二君、ごめんなさい。
悪魔とか言ってゴメンナサイ。
優しいデス。
ホントに優しく、且つ分かりやすく教えてくださいます。

「最後にこの例題プリント、解いてみて」
「はっはい」

おおっ!
わかります。解けます。
グイグイ解けちゃいますvv

グッと背中が重くなります。
「…ひゃっ」
「そうそう、よくできてる」
こここっこれはっっ
不二君が私の背中に乗ってます。(正確には、後から抱きついています)
「そこは違うよ。さっきの公式」
あぁう
耳っ耳元で喋らないでくださいぃっっ

「早鐘」
「……何がです?」
の心臓」
胸に温かい感触です。
こここっこれはっっっっ

ギギッと古いおもちゃのように首を動かすと

むむむむむむっむむむムネっ胸のううっ上にふふふふっ不二君ののののののっ
ててて手ががっっっ

「…………………(放心中)」

『ダメだ! 今、不二(先輩)と目を合わせたら、横槍を入れたら殺られるっっ!!』(レギュラー一同)

「照れてるの? 可愛いなぁは」

「……こここっのセクハラ魔―――――――――――っっっ!!」

スカッッ

思いきりよく振り上げた手は見事に宙を舞いました。

「簡単に殴れるなんて、思わないでね」

と、魔王(昇進)は笑いました。





翌週の数学の時間。
……満点だ。テニス部のマネをしながらだというのに、よく頑張ったな」
と言われつつ先生に返された補習テスト…………

あのお方は何をしやがりましたのですか?

あの日、不二君に数学を教えてもらって最後の締めにやった例題プリント……

補習テストと全く同じ問題だったんですけど…………

これは、もしかしなくとも不正ではないですか?

ああっ恐ろしやっっ
あとで、不二君を問い詰めなければっっ

席に戻りパラリと数学のノートを開くと

『満点おめでとう。はっきり言うけど、コレは不正ではなくの努力の賜物だからねvv
あと牛乳飲むこと。僕好みとしてはもう少し大きい方がイイから。それとも僕が育ててあげてもいいけど、どーする?』

ふぢくん……

ノート2ページにわたりなんてことを!
しかも油性ペンで!!

育てるって…………

何を??

『この前は服の上からだったけど、今度は……ね』


「…………っぎゃ――――――!!!!!!」
「……(怒)…………立ってろ」


。14歳。
なんかイロイロとピンチです。










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ど う し よ う !
いつまで続くのコレ?
もういいわけしようが無いデスヨ
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