青い空
白い雲
大量の洗濯物
遠くから聞こえる叫び声

「暑いです」

そろそろ7月も終わろうかとしているのに
私はどうして家でなくこんな山奥で

「暑いです…」

マネージャー業をしているのでしょう?


■合宿・何日か経ちました■



「もうも手伝ってってば!!」
「いやよー暑いもん」
「ココは暑くないでしょっ。外は暑いの。洗濯物干すのと取り込むのが暑いの!!
冷房がききまっくてる部屋で遊んでるだけでしょー!!」
「遊んでないしっあとレベルを5あげないと次の隠れキャラ倒せないんだよ!!」
「遊んでるじゃん!!」

そんなこんなで始まった合宿っぽいものですが、なぜかダラダラ続いています。
不二君たちは朝からテニステニス。
そして私は掃除・洗濯・掃除・洗濯の繰り返し。
跡部くんの別荘を借りてるので使用人さんが数名いらっしゃるのですが、ただ世話になっ
てるだけではダメだと思い少しだけお手伝いをしているのですが…

もう…イヤ…

男子中学生が20人くらいいるとハンパないです。
洗濯物の量とか…
洗濯機を何回まわせばいいの?
大家族のお母さんって凄いです。


「ねぇー―」
「なんですか」
「あそびいこっか(笑)」
「……虫取りにでも行く気ですか?」
「水遊び☆」
「……川で?」
「泳ぐなりー☆」
「…水着ないし」
「買ったよ。の分も」
「はい??」
「合宿前に不二と買ってきた!! 今こそこの水着の出番なり☆★☆」
「なにして……ちょっっっイッヤー!!!
「ふははははは!!」


そんなこんなで、無理矢理服を剥ぎ取られ
(犯罪ですよ本当に)水着に着替えさせら


「はい☆」

浮き輪を手渡され、日焼け対策のパーカーをはおり、ビーサンを履き、引きずられるよう
に川へと向かいました。






嫌々渋々やって来たのですが

「うわー」

すっごい綺麗です。
山の中の川なんてはじめて来ました。
……虫が多いのが難点ですが

「たまには中学生らしく川で遊ばないとね☆」

と言っては川へダイブ。
そしてそのままクロール。
なんてアクティブなんでしょう…


「ねー
「なぁに?」
今度は背泳ぎをしています。

ふじ……乾くん達誘わなくていいの?」
「うん!!」
「みんな今頃暑い中テニスなんだろうねぇ」
「そう! そして私は可愛い女の子の生足・生腰を見ながら遊泳!!」
「オッサンですか?!」

バッシャバッシャと泳ぐを見ながらふと思う。

合宿開始から早いもので1週間以上。
つまり1週間以上不二くんと同じ屋根の下で暮らしてきたのですが

その

なんというか

いいにくいのですが

手すらつないでない。

話はする。

笑いあう。

でもそれは皆といっしょ。

不二くんだから

不二くんとだから

したいこと。たくさんあるのに

友達の肩をたたくようなスキンシップではなく

そっと寄り添いたい時だってあるのに。

メールや電話じゃできないこと

家にいたらできないこと

ひとつ屋根の下にいるからできるのに

こんなに近くにいるのに


昨日は何か喋ったかな?
一緒にテレビをみた。
クイズ番組だった。
菊丸くんが必死に答えを考えていた。
が隣で大笑いしていた。
跡部くんが「くだらない」と笑っていた。
不二くんは私の斜め後ろでテレビを見ていた。
不二くんの隣で手塚くんが珍しくケイタイをさわっていた。
不二くんが手塚くんにメールの絵文字の出し方を教えていた。

私は斜め後ろの気配をテレビを見たまま、必死に探っていた。

、いまのさ」

時折話しかけられた。
私は笑ってこたえた。

時間が経つにつれ一人、また一人と自室に戻って眠りに着く。
そして

「おやすみ

不二くんも。

別にそれは特別なことではなくて。

皆と一緒で

特別な不二くんに

特別なことは、なにひとつされてない。




「私がワガママなのかな…」


ポツリとつぶやいた。
すると


「涼しそうじゃねぇの」


後ろから跡部くんの声がした。


「跡部くん? どうしたの??」

「休憩中」

「あーそかそか。お疲れ様です。って、ええ???

思わず奇声を発してしまいました。
跡部くんがガバッとTシャツを脱いだのです。
半裸です!!
思わず目を覆い隠します。

「跡部くん??!!」
「たまにはいいな」

跡部くんのいつもよりも楽しそうな声と水の音。
どうやら川に飛び込んだようです。

も来いよ」
「えっでも」
「跡部だけずりーし!!」

私が躊躇していると今度は後ろから岳人くんとジローくんの声。
そしてヒラヒラ舞い降りてくるポロシャツ。
飛び込む水音。

その水音につられる様に

「楽しそうやん」
「俺達も泳ごうよー大石―」

わらわらと

「楽しそうっすね」
「水着とかいらねーって! 別に女じゃねぇし」

集まりだし

あっという間に川が

若い男の裸祭……

そして私の周りにはちょっぴり汗臭いTシャツ、ポロシャツ、ジャージ……

洗濯しますか。

と、近くにあるシャツに手を伸ばす

するとその手が、すくいあげられた。


「なにしてるの」


私の手をすくったのは不二くん。

「なにって…」

その表情はなぜかムスッとしている。
意味がわからない。

なにしてるの? はこっちのセリフだよ。

突然来てムスッとして

意味がわからないよ。

私なにかした?

なにかできるくらい傍にいれた?







不二くんはため息混じりに私の名を呼んだ。

なにそれ?

イラッとくる。


ずっと

ずっと

かまってほしかった。

せっかく近くにいるのに

どうして普通なの?

もっと話そうよ

触れ合おうよ

もっと

もっともっと




「不二くんの…ばか」




ワガママだってなんだっていい

私は不二くんの特別じゃないの?
私だけアナタが特別なの?

私だけ

近くにいれる事を、意識してるの?



「バカは

ムスッとした表情のままの不二くんは勢いよく私のパーカーのチャックをあげた。

「??」

「どうしてこんなカッコウしてるの?」

「こんなって」

「周り男だらけだよ? 無防備すぎると思わない?」

「え?」

「もうちょっと考えようよ」


なに それ?


「なにそれ? なんで怒られなきゃいけないの?? 挨拶以外の言葉だと思ったらお説
教? 意味わかんないよ」
「意味わかんないのは僕のほうだよ」


イッラー!
なんでケンカしなきゃなんないのよ
私別になにもしてないよ?


「不二くんのバカッ」
「バカはだろ?! 今だって足は出てるし胸まで」
「水着なんだから当たり前でしょ!?」
「着るなよ」
「なんでよ?」
「……だから、周りは男だらけ」
「誰も見ませんっっ!! ああっわかりました!! どうせ私は貧乳ですよ!! 見せん
なと!! そんなみすぼらしいもの見せんなと!! 出直して来いと!!

見るよ!! ガン見だよ!! 気付いてないだけだよ! だいたい夜だって薄着で髪とかちょっと濡れちゃってて、石鹸のいい香りさせて……アレか! わざとか?! 試してるのか?!
「ほんとに意味わかんないんだけど」
は自覚が無さ過ぎる!」
「自覚ってなによ?!」
「我慢できなくなるだろう?!」
「我慢ってなによ??」
「男の事情だよ」
「男の事情ってなっ」


「●●●●ってコトでしょ?」
「わ―――――――――――っっっ!!!」


のケラケラとした笑い事と乾くんの大声。

「ちょっとー乾? なに?」
「何じゃない!! だって女の子なんだからもっと発言に」
「うっさいドリアン!!」


今度はと乾くんがケンカをはじめた。
その言い合いが私では表現できないほど酷くて……
あっけにとられていると





「……


隣から不二くんの声。


「なんですか?」

「……頼むから、もうちょっと厚着して」

「……暑いです」

「あんまり僕を信用しないで」

「……」

「……僕だって男ってこと、忘れないでね」



…………。



あー

ああ!

あああーっっ(照)


あーはいはい。

やっと私理解できました。

私だってもう中3です。

何も知らないわけではないです。

ああーそっかそっか



でも









「でも」




隣の不二くんをジッとみつめる





「だからって、触れてほしくないわけじゃないんだよ」




ボンッと不二くんの顔が赤くなる。




「だからって18禁なことはしちゃダメだよ」




不二くんはクスッと笑う。




あーそっか
不二くんもドキドキしてくれてたんだね。
ひとつ屋根の下で。
近くにいて。


そっか

そっか。


私だけじゃなかったんだ。

よかった。










「ねぇ不二くん」
「?」

「今日の夜」
「うん」

「ふたりでお散歩行こ? 手、つないで」
「いいよ」





せっかく傍にいられるのだから

もっと

もっともっと

一緒に

いたいよ

不二くん。













さんの「●●●●」発言お好きな言葉を入れてください。
フセ字にしないとアコの表現はストレート過ぎた!!(笑)