「なぁ侑士リボンの色、何色がいいと思う?」
「赤なんか可愛いと思うで」
「赤かぁー。なぁ跡部はどう思う?」
「何やってんだ?」
跡部景吾の目の前で何とも不思議な光景が広がっていた。
ちょこんと座る向日の首に忍足がせっせとリボンを巻いているのだ。
「何ってホワイトデーの準備! 見てわかんねーの?」
「わかるわけねぇだろ」
「岳人動くなって言うてるやん、リボンが曲がってしまうで」
「ワリィ侑士」
跡部は眉間に深い皺を刻んで
「ドコがホワイトデーの準備なんだ?」
「ちゃんにお返しは自分やて宣言したらしいわ」
「だからリボンで飾ってんだよ」
「…嫌がられるぞ」
「んなっ! なんてこと言うんだよっクソクソ跡部っ」
「そーやそーや。せっかく面白いことになってんやから水差したらあかん」
しかしなぁ、と跡部は深い溜息をつき
「普通にソレ(首にリボン)見たら引くぞ?」
「そっそうかな?(ガーン)」
「跡部っ! 水差すなって言うとるやん」
「止めねぇとテニス部の恥だろ」
「ええやん。面白かったら」
「よくない! に嫌われたら俺はどーすればいいんだよ?! クソクソ侑士クソクソ
跡部!! ばーかばーかばーかっ」
そう言いながら、首に真っ赤なリボンを巻いた向日は部室を飛び出していった。
まるで
一昔前の仮面ライダーのように真っ赤なリボンをひるがえしながら……
「行ってしもうたで?」
「ああ」
「これで決定やな」
「ああ(怒)」
「テニス部の恥さらし☆」
「岳人……(怒)」
「!!」
「ん?」
勢いよく呼ぶ声に振り返ると
そこには
リボンを巻いた中3・男が立っていました。
「……何ソレ」
「うお?!」
の冷たい一言に向日は慌ててリボンに手をかける。
「いや、これは、その、侑士が…ぐぇっ」
ほどこうとリボンをひいて、首がしまっている。
「何してんの?」
「……」
「ちょっ! バカ! なに窒息してんのよ?!」
「……はぁはぁはぁ…………―っ(涙目)」
「何よ?」
「ホワイトデーのお返し……もう皆からもらった?」
「うん(超笑顔)」
「何を? 言ってみそ?」
「えーっと侑士くんからは時計でしょ、景吾くんからは服もらったでしょ。ジローちゃん
はアクセサリくれて、宍戸くんからは映画のチケットもらった。ちょたくんは靴くれて、
樺地くんは…なんだっけ? あーそうそう、鞄もらったvvで、滝くんからは香水(新作)
もらって、日吉くんからはマフラー(カシミア)vvvv」
「…………」
「いいでしょvv」
「…………」
「で、ガックン。そのリボンはなぁに?」
「……お…かえ……し…………」
「ふーん。で、何をくれるのかな?」
「お……俺」
「……いらない(超笑顔)」
「(ガーンッ!)」
「……うそ」
「!?」
「仕方ないからもらってあげる」
「」
「あとね、皆からの伝言。『俺達のあげたお返しでデートでもしてこい』だって」
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中学生のくれるお返しじゃないよね。
さすが氷帝だ!!
そういうことにしときます。
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