「ヤッ! これは私の。友達にもらったんだから」
「なんだよっ! 俺のねーの?」
「普通にないし」
昼休みの教室にキャンキャンと声が響く。
話しているのは向日岳人と。
両手いっぱいにチョコを抱え込んだに詰め寄る岳人。
という図が繰り広げられている。
「なんで侑士にも跡部にもジローにもチョコやったのに俺にはねーんだよ?!」
「だって皆はちゃんとお返しくれるもんっ!」
「俺だってやったじゃん!」
「ガックンのお返しはちゃちーもんっ! 去年なんてガム1枚だよ?! ガム!! わか
ってんの??」
「……侑士とかは何くれたの?」
「侑士くんは『ドコでも好きなトコ連れてったるわ』って遊園地連れてってくれたし、景
吾くんはメチャメチャ欲しかった香水くれたし、ジロちゃんはこーんな(両手をいっぱい
に広げる)クマのぬいぐるみくれた。あと宍戸くんはなんだかんだ言いながら普通にお
菓子とかいっぱいくれたし、ちょたくんは『先輩何か食べたいモノあります?』ってオゴ
ッてくれたし、樺地くんは外国のお菓子くれたよ。あとあと滝くんはめっちゃ可愛いおも
ちゃくれたでしょ、日吉くんは丁寧なお手紙と和菓子くれたもん!!」
「…………」
「今年はガックンのないんだもんっ」
「―っ(涙目)」
「泣いてもないもん」
「はお返しでやるとかやらないとか決めるのかよ? 見返り求めんのかよ?!」
「逆ギレしてもムダだし。見返りだってもとめたくなるわよ! 毎年夜中まで頑張って手
作りしてるんだよ。なのにお返しが『あーっそっか今日ってホワイトデー? ほら、お返
し』ってガム投げた奴なんかにあげないんだもんっ」
「…お前、記憶力いいな」
「それほどムカツイタのよ(怒)」
「ごめんなさい。謝るから、サマからのチョコが欲しいです」
「……いっぱいもらってんだから私からのなんていらないでしょう」
「いる!」
「なんでよぅ」
「からもらいたいの」
「むーっっっ///(わかってんのよ。結局私ってばガックンに弱いことくらい)」
は机をあさると箱を取りだし
「はい」
岳人に渡した。
「?」
「なによぅっ。チョコ欲しいんでしょ」
「マジで?!」
「マジだよ」
「うわっ超カンドー」
「……ガックン」
「わかってるよ! 今年のお返しは誰にも負けねぇ!」
「は?」
「丸ごと俺やるよ!」
「…………いらない」
「なっ!(ガーン)」
++++++++++++++++
この2人はレンアイ未満ってかんじ。
恋人同士はまだはやいけど、いずれは
ひっつくカンジ。一番中学生らしい。
++++++++++++++++