一瞬、耳を疑った。

「あの不二周助とが付き合いだしたらしい」





■争奪戦 
‐前編‐








「なんだと?」

部活が始まる直前だというのに、いつもと同じ空気が一気に黒さを増した。
樺地の発した(と言っても俺達には「ウス」としか聞こえない)一言。
跡部先輩曰く

さんと不二周助さんが付き合いだしたというのだ。

不二さんって…あの人ですよね??

跡部先輩と動物園を……その…………閉鎖に追いやった人…………ですよね??





気にいらねぇなぁ




うっわぁ…跡部先輩が毒吐いてます。















「ししっ…宍戸先輩……」
「なんだ?」
「ちょっと」

これから起こる事態くらい容易に想像できます。
跡部先輩のことだから青学に乗り込むとか言い出すんでしょう?
そうなると前回の惨事を目の当たりにしなかった宍戸先輩と
「日吉もいい?」
日吉にくらいは経緯を説明しておかないと……

きっと絶対、混乱して更に事が面倒になる。


ということで軽くあの惨事を話した。







2人の反応は絶句
それは、そうですよね。
そういうもんです。

たった2人の中学生に動物園が閉鎖させられたなんて信じませんよね。

でも

本当なんですよ……

あの後、動物たちが…………俺の口からは言えません。


ただ、全部の動物が場所を移った。としか言えません。

それが極度のストレスからでだなんて言えません。

そのストレスの原因が2人(跡部先輩と不二さん)の残した邪気etcだなんて口が裂けても言えません。






宍戸先輩と日吉はテニス部の中では(まだ)常識人だと思っています。

でも

信じたほうが、身のためですよ?

きっとすぐに、目の当たりにしますから。














「行くぞ」(パチン)
















ほーら、跡部先輩が立ちあがりましたよ?

跡部先輩は何気にさんのこと気に入っていますからね。
というか、惚れちゃったんですか?

ヤだなぁ。


「おうっ! 乱闘やんっ」
忍足先輩…喜ばないでくださいよ……

「武器持ってく?」
向日先輩も……

「…めっさつ」
芥川先輩…可愛いふりしてなんてこと言ってるんですか?

滝先輩…監督……どうして……こんな時にいないんですか?

今いないと次…巻き込まれますよ?





































悪寒がします…
悪い予感です。

え? ええ??

今のトコロ、不二くんは悪さを考えてませんよね??

じゃあ…どういうことですか?

えっ? えっ? ええ????

自慢なのですが
(本当はこんなこと自慢したくないですが)私の悪い予感は当たるのです!!

どうしましょう……

不二くんは今部活中。
妖精さんに調べてもらうことはできませんね。

ってことは


っ!」
「めんどくさいことはよぅ」


なんだろう…考えよまれてます…………


「あの…私ね、嫌な予感するのね」
「ふーん」
「どうしよう?」
「しらなぁい」
ちゃんの黒魔術でチョイッと」
「不二の妖精情報によるとねぇ」(自分で調べるのは面倒)

……? ってば妖精さんと繋がりあるの?(こわいから深くはつっこまない)

「来るよ」

来る?

「よう、

「ほら来た」

ん? 今の声……

「お久しぶりです。さん(そしてゴメンナサイ)」

「跡部さん? と…ちょたくん」

「さっきのケータイに鳳少年からメール来てたよ」
笑顔(ウソくさい)で私のケータイがの手から手渡されます。

どうしてが持ってるの?!

……もういいです。(溜息)

メール?

うわっ開封済みだよ。えーっと……

『今から跡部先輩たちがそちらへ向います。
きっと(絶対)迷惑をかけることになるので、できれば今日は早めに帰ってください  長太郎』

ちょっとさん…コレ読んでたから知ってただけじゃないですか…
何が不二くんの妖精情報ですか??


「えっ…えーっと…お久しぶりです。跡部さん、忍足さん、向日さん、ジローさん……樺地ロボさん…………」

あとお二人いらっしゃいますが…初対面ですよね?

「ああ…こちらが宍戸先輩、俺とダブルスやってます。でこっちが日吉。俺と同じ2年です」

ちょたくん…これは私の気のせいでしょうか?

宍戸さんと日吉さんはその……ものすっごい嫌そうな顔してるのですけど……

とりあえずお二人に軽く自己紹介をして、疑問を切り出しました。


「あの…跡部さん達は何をしに青学へ?」


制服を着ていらっしゃいますし、今日は練習試合があるとも聞いていませんからテニスをしに来たというワケではありませんよね?


が不二と付き合ってるとかいう話を聞いてな」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうして・・・・・・・・
氷帝に・・・・・・・・・・そのことが・・・・・・・・・・


「真相を確かめに」











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしよう







なんだか…なんだか

「はい、付き合ってます」

とか笑顔で言える雰囲気ではありません。

不二くん跡部さんってすっごく仲悪そうだし……というか悪いし!










「付き合いだして2週間。ちなみに最終的に告ったのはだったりするのよ」










私が躊躇している間にがアッサリ言いやがりました!











ゾクッ










なんだか一気に氷点下。












寒いっ寒いですぅっ!!















「…さっさと別れろよ」


「え?」


「あんな女男より俺のがいいぜ?」


「え??」


「本気で俺の女にならないか?」








うわぁ…………言 っ ち ゃ っ た ! ! (氷帝一同)















「…えっと…………その…………………」
ど う し よ う …


無理ですよ。無理です。
だって私は…その…不二くんのことが好きですし……

えっと…その………

でも

今すぐ断っていいのですか?

その…断ります。断りますよ?

でも……ココ(青学。しかも不二くんの近く)で断って…その……

なんか…前にすごく似たようなことがあったから……

いいのかなって……












、断っちゃっていいよ(ニッコリ)」
















…あああああっ(滝汗)








いつの間にか笑顔の人が立っています。(笑みが黒い…)

すぐソコにいます。

来ちゃった。来ちゃったですよ。

まだ部活やっててくださいよっ















「あーもーっ! うっさいっ!!」

急にがキレました。まだ、そんなにうるさくなかったのに…
私…この頃……。友達ですよ、親友だと思ってます。
そのの言動が理解しがたいです。
こんな子じゃなかったと思う(弱気)のに……

「ケンカすんなら外でしてーっ! もーこの際の気持ち無視して2人で争奪戦でもすればいいじゃーん」

……(泣)なんてことを…言いだすの?

の気持ちを無視するのはマズイだろう」
「いいのーっ面白ければいいのっ♪」

乾くんもっと強気でを止めてくださいよ……
ん?? 乾くん? どうしてココに?
って、うわ…
青学テニス部までいつの間にか勢揃いです。


そして私を無視してなんだか盛り上がりはじめました。






もう、いい。

もう、すきにして。





。戦線離脱。






不二周助。跡部景吾。
参戦。







こうして、争奪戦が始まった。







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